コラム | 子どもの体幹

子供の体幹が弱い・姿勢が悪い
原因と改善法

「うちの子、姿勢が悪い」「すぐ転ぶ」「授業中じっとできない」——そのお悩み、体幹の弱さが原因かもしれません。改善のカギは、意外にも相撲の伝統的な動作にありました。

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この記事の結論:子供の体幹が弱いのは「異常」ではなく、成長途中の自然な状態です。神経系は6歳で大人の90%まで発達するのに対し、筋肉や骨格はまだ半分以下。この時期に必要なのは重い負荷のトレーニングではなく、自分の体重を使ったバランス運動と柔軟性の向上です。相撲の基本動作である四股・腰割りは、科学的に見ても成長期の体幹強化に最適なトレーニングです。

子供の体幹はなぜ弱い? 発育の仕組みから理解する

「体幹が弱い=問題がある」ではなく、発育途中の自然な姿です

神経系は6歳で大人の90%。筋肉はまだ成長途中です。

「体幹が弱い」と聞くとトレーニング不足を想像しがちですが、小学生の体幹が大人に比べて弱いのは、身体の発育パターンそのものが原因です。

スキャモンの発育曲線というよく知られた理論によると、人間の組織は神経型・一般型(骨格筋)・リンパ型・生殖型の4種類に分かれ、それぞれ違うスピードで成長します。脳や神経のシステムは6歳頃に大人の約90%まで発達するのに対して、骨格や筋肉は小学生の間はゆるやかにしか育たず、思春期に入ってから一気に追い上げます。

0% 25% 50% 75% 100% 0歳 4歳 8歳 12歳 16歳 20歳 小学生期 神経系 骨格・筋肉 ← このギャップが 「体幹が弱い」の正体

スキャモンの発育曲線(簡略図)。小学生期は神経系と筋骨格系に大きな発達ギャップがある。この差を理解することがトレーニングの出発点。

つまり、小学生の体幹が弱く見えるのは「鍛えていないから」ではなく、「筋肉がまだそこまで育っていないから」。これを知らずに大人と同じ筋トレをさせても効果は薄く、場合によっては怪我のリスクを高めてしまいます。

さらに近年は、都市化や少子化による外遊びの減少、スクリーンタイムの増加が問題を加速させています。文部科学省の調査でも、体を動かす遊びの機会が減少傾向にあることが報告されており、発育上は自然に獲得されるはずの体幹の基礎力が十分に育たないまま学童期を迎える子供が増えています。→ お子さまの姿勢が気になる方はこちら

ポイント:今伸ばすべきは「神経系」

小学生期は神経系が圧倒的に発達している時期。バランス感覚、身体の協調性、反応速度など、いわゆる「運動神経」の土台が作られるゴールデンエイジです。体幹を鍛える場合も、重い負荷よりバランスや動作の正確さを磨くアプローチが理にかなっています。

Scammon RE. The measurement of the body in childhood. Univ. of Minnesota Press (1930) / 日本アスレティックトレーニング学会誌 4(1): 3-10 (2018)「身体の発育と発達」/ 德村光昭ほか「子どもの成長発達段階を考えたスポーツ指導」慶應義塾大学保健管理センター / Lloyd RS & Oliver JL. "Chronological age vs. biological maturation" J Strength Cond Res (2014) PMID: 24476778

体幹が弱い子供の姿勢が悪くなる3つの理由

姿勢だけの問題ではありません

姿勢の崩れ、怪我のしやすさ、集中力の低下につながります。

体幹が弱いと起きる3つのこと:姿勢が崩れる/怪我をしやすい/集中力が続かない

1つ目:姿勢が崩れる
座っていると背中が丸まる、頬杖をつく。体幹で上半身を支える力が足りないため、骨格のゆがみにもつながりやすい。
2つ目:怪我をしやすい
転倒時にとっさに手が出ない、踏ん張れない。スポーツ中の捻挫や打撲のリスクが上がる。相撲の傷害データでも経験浅い10代に怪我が集中。
3つ目:集中力が続かない
正しい姿勢を保てないと全身の血流が悪くなり、脳への酸素供給が低下。授業中にそわそわ・じっとしていられない原因の一つに。

文部科学省も幼児期運動指針の中で、身体活動の減少が運動能力だけでなく意欲や気力の減弱、コミュニケーション能力にも影響すると指摘しています。体幹の問題は「運動ができない」にとどまらず、日常生活全般に波及する可能性があるのです。

なぜ相撲の基本動作が「最強の体幹トレーニング」なのか

四股・腰割り・すり足には3つの要素が同時に詰まっています

バランス・体幹・柔軟性を1つの動作で同時に鍛えられます。

数百年にわたって力士たちが毎日行ってきた基本動作——四股、腰割り、すり足。これらを現代のスポーツ科学の視点で分析すると、子供の体幹強化に必要な要素がすべて含まれていることがわかります。

相撲の基本動作が最強の体幹トレーニングな3つの理由:神経系を刺激する/自体重で体幹を鍛える/股関節の柔軟性が上がる

1
神経系を刺激する
四股は片脚立ちのバランストレーニング。すり足は低い姿勢での重心移動。いずれも神経系が急速に発達している今の時期に最も効果的。
2
自体重で体幹を鍛える
腰割りは、低い姿勢をキープする等尺性(アイソメトリック)の体幹トレーニング。ダンベルもマシンも不要。成長期の関節に安全。
3
股関節の柔軟性が上がる
股関節の可動域は怪我予防の最大の防御。腰割りの姿勢を繰り返すことで、自然に股関節が柔らかくなっていく。

一般的な子供の体幹トレーニングとしてよく紹介されるプランクやバランスボールは、体幹の「保持する力」は鍛えられますが、柔軟性やバランスの動的な制御は十分にカバーできません。相撲の基本動作は「止まる力」と「動く力」の両方を同時に要求するため、総合的な体幹能力の向上が期待できます。

実際に、四股踏み運動を6週間継続した研究では、片脚立ち保持時間とファンクショナルリーチテスト(動的バランスの指標)がいずれも有意に改善したことが報告されています。

工藤真大ほか「高齢者向けの四股踏み運動が歩行能力および健康関連QOLに与える効果」第48回日本理学療法学術大会 (2013) ※本研究は高齢者対象ですが、四股の動作が片脚立ちバランスと動的バランスの両方を改善するという知見は年齢を問わず応用可能です。

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小学生の体幹トレーニング|家でできる「相撲トレ」3選

毎日5分でOK。遊びの延長で体幹が変わります

四股・腰割り・押し相撲の3つだけで十分です。

① 四股(しこ)

四股の5ステップ:立つ→腰割り→体重移動→足を上げる→ドシン

1
立つ
足を肩幅より広めに開き、つま先を外に。背すじをまっすぐ。
2
腰割り
ゆっくり膝を曲げて腰を落とす。腰は丸めない。
3
体重移動
軸足にしっかり体重を乗せる。
4
足を上げる
反対の足をゆっくり上げる。高さより安定感重視。
5
足を下ろす
息を吐きながらドシンと。左右交互に5回ずつ。

⚠ 最初は腰割り(ステップ2まで)だけでもOK。壁やテーブルに手をつきながらでも大丈夫です。

② 腰割り(こしわり)キープ

腰割りキープのOK vs NG:正しい腰割り(膝とつま先が同じ向き)vs ニーイン(膝が内向き)NG

1
足を大きく開く
つま先を外に向ける。
2
ゆっくり腰を落とす
背すじを伸ばしたまま。
3
5秒キープ
太ももが地面と平行になったら深呼吸しながら。
4
ゆっくり戻す
5回繰り返す。

⚠ 膝がつま先より内側に入らないこと(ニーインNG)。お尻が後ろに突き出る形もNG。真下に沈むイメージで。

③ 押し相撲(おしずもう)遊び

押し相撲(おしずもう)遊び:親子で手のひら同士を押し合い、足は動かさない

1
向かい合う
親子で手のひら同士を合わせる距離に立つ。
2
足は動かさず手のひらで押す
その場から動かさない。
3
バランスを崩した方が負け
先に体勢を崩した方が負け。
4
慣れたら腰割り姿勢で
低い重心でやると、より体幹に効く。

⚠ 力の差が大きい場合は、大人が片手・子供が両手など条件を変えて。遊びの中で自然と重心コントロールが身につきます。

「楽しい」が一番の継続のコツ

文部科学省の運動指針でも、幼児期〜学童期の運動は「遊びを中心に展開される必要がある」とされています。四股の回数を競ったり、押し相撲でトーナメントを作ったり、ゲーム感覚を入れると続けやすくなります。

成長期にやってはいけないトレーニング

「鍛えすぎ」が逆効果になるケースがあります

高重量の筋トレ、無理な開脚、長時間の反復はNGです。

成長期にやってはいけない4つのNG例:高重量ウェイト/無理な股割り/休養日なしの連日ハード/勝利至上主義のプレッシャー

✕ 高重量のウェイトトレーニング
日本相撲連盟の公式指導手引きでも「成長期に骨格筋に強い負荷を与える激しい筋力トレーニングは、十分な効果が得られなかったり傷害を引き起こす可能性がある」と記載。自体重トレーニングを推奨します。
✕ 無理な股割り
大人や先輩が上から押して無理に開脚させるのは厳禁。内転筋や靭帯を損傷する原因になります。毎日少しずつ、お風呂上がりに気持ちよい範囲で。
✕ 休養日なしの連日ハードトレーニング
オーバーユース障害のリスクが高まります。特に膝の痛みは成長期の反復負荷で起きやすく、週に1〜2日の休養日は成長期に特に重要です。疲労が蓄積していたら無理せず休みましょう。
✕ 勝利至上主義のプレッシャー
慶應大学の總説でも「競争性を重視した専門的技能の獲得を主目的にすると、子供特有の問題が発生する」と指摘。楽しさが最優先です。

日本相撲連盟「中学校部活動相撲指導の手引き」(平成31年度版) / 德村光昭ほか「子どもの成長発達段階を考えたスポーツ指導」慶應義塾大学保健管理センター / 文部科学省「幼児期運動指針」(2012)

体幹を鍛えた成果を試す場所 — わんぱく相撲大会

こころグループは新宿区わんぱく相撲大会に協賛・トレーナー派遣しています

四股や腰割りで体幹を鍛えたら、その成果を実際に試してみませんか? わんぱく相撲は小学1〜6年生なら誰でも参加できる大会です。勝ち負けだけでなく、「初めてのことに挑戦する勇気」「全力を出し切る体験」が得られる場として、毎年全国200地区で開催されています。

こころグループ × 新宿区わんぱく相撲大会

こころグループ(givers Holdings)は、新宿区わんぱく相撲大会に協賛し、大会当日にスポーツケアの専門トレーナーを派遣します。テーピングサポートや怪我の応急対応で、お子さまが安心して全力を出せるようサポートします。

※大会の詳細情報(日程・会場・参加方法)は近日公開予定です。

相撲はハードルが高いと思われがちですが、わんぱく相撲は初めての子でも楽しめるように安全面が配慮されています。この記事で紹介した四股・腰割りを2〜3週間やってから参加すると、「あれ、踏ん張れる!」という体験ができるかもしれません。

→ 力士の怪我とトレーニングの実際もあわせてどうぞ

記事に関するよくある質問

何歳から四股や腰割りを始めて良いですか?
5〜6歳から始められます。片脚立ちが安定してできる年齢であれば四股の練習に入れます。それ以前のお子さまは、腰割りの姿勢でキープするところから始めましょう。転倒防止のため、最初は壁や親の手を支えにしてください。
四股で膝を痛めませんか?
膝を痛める原因は「ニーイン(膝が内側に入る)」のフォーム不良です。つま先と膝が同じ方向を向いていることを確認し、浅い腰割りから始めれば安全です。むしろ股関節周囲の筋力が向上するため、長期的に膝を守ることにつながります。
体幹トレーニングで身長が伸びなくなりませんか?
「筋トレで身長が止まる」という説に医学的根拠はありません。成長期に避けるべきなのは、骨端線(成長板)に過度な圧力がかかる高重量のウェイトトレーニングです。四股や腰割りは自体重運動なので、その心配はありません。
相撲をやっていなくても効果はありますか?
四股・腰割りで鍛えられる股関節の可動域・体幹の安定性・下半身の筋力は、サッカー・野球・水泳・ダンスなど全スポーツの基盤です。イチロー選手が試合前に腰割りの姿勢を取っていたことは有名です。
わんぱく相撲は初心者でも参加できますか?
わんぱく相撲は小学1年生〜6年生が対象で、相撲経験がなくても参加できます。安全面の配慮がされており、まわしの締め方も当日スタッフが教えてくれます。「やったことがないけど挑戦してみたい」というお子さまに最適な大会です。
子供の姿勢の悪さについて整体院で相談できますか?
姿勢の崩れには体幹の弱さだけでなく、股関節や肩甲骨の可動域の問題が関係していることもあります。こころ整体院では、お子さまの身体の状態を多角的に評価し、日常生活やスポーツに活かせる具体的なアドバイスをお伝えします。
安藝泰弘
監修:安藝 泰弘
givers Holdings CEO / 常務理事, 医療法人奥山会
臨床経験28年・施術実績15万人超 / 年間約80万人来院
givers Holdings 全165拠点運営(こころ整体院125院 他)
国際論文誌掲載論文著者 / 東亜大学大学院 博士課程在籍
柔道整復師(国家資格)/ 医療法人奥山会 常務理事
→ 研究実績を見る
萩原三郎
監修:萩原 三郎
NATA公認ATC / メソッド監修
メジャーリーグ球団で10年間プロ選手のコンディショニングに従事
2016年アパラチアンリーグ年間最優秀アスレティックトレーナー受賞
NATA公認ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定)
トレーニングメソッド考案
自社チーム 新宿givers(3×3女子バスケ/2026年日本選手権ベスト4)
神奈川フューチャードリームス(野球)・渋谷シティFC(サッカー)(2024年・2025年優勝)トレーナー
横浜DeNAベイスターズ 育成部門(アカデミー)へのトレーナー派遣(2024年〜2026年3月)
NATA公認ATC MLB球団10年 リーグ最優秀AT

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※本ページの内容は、一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を行うものではありません。症状が重い場合や、骨折・靭帯断裂が疑われる場合は、まず医療機関を受診してください。

※「改善」「緩和」等の表現は施術による一般的な体感の変化を示すものであり、効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

※本ページは2025年2月18日施行の厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」ガイドラインおよび景品表示法に準拠して作成しています。

最終更新日:2026年5月11日|監修:安藝泰弘(医療法人奥山会常務理事・柔道整復師・東亜大学大学院博士課程)、萩原三郎(NATA公認ATC)

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