股関節が右だけ痛いのはなぜ?左右差の原因タイプ別の対処と回復の目安

股関節が右だけ痛いのはなぜ?左右差の原因タイプ別の対処と回復の目安

  • 監修日: 2026-08-19
  • 執筆・総監修: 安藝 泰弘(柔道整復師/giversホールディングス こころ整体院グループ 創業者・PLOS ONE 掲載論文 筆頭著者)
  • 監修(理学療法): 村石 喜伸(理学療法士/givers PT 代表)
※本稿は一般的な情報提供です。強い症状・急な変化がある場合は、必ず医療機関で評価を受けてください。
この記事のポイント

股関節が右だけ痛い背景の多くは、股関節そのものが左右で違う形をしているからではなく、立ち方・座り方・歩き方のクセによって片側にばかり負担が積み重なっていることにあると考えられています。 股関節は骨盤のくぼみに太ももの骨の丸い先端がはまり込む球関節で、片脚で立つ瞬間には体重の約3〜4倍の負荷がかかるとされ、わずかな重心のかたよりでも左右で受ける負担に差が生まれます。まず大切なのは、安静にしていても強く痛む・脚を動かせない・発熱を伴うといった、姿勢のクセでは説明できないサインが隠れていないかを見分けることです。そのうえで、痛む場所(脚のつけ根・お尻の外側・お尻の奥・動かし始めだけ)に合わせて対処を選ぶと、回復までの遠回りを避けやすくなります。

こちらは全国125院・年間延べ80万人の患者様に向き合ってきたこころ整体院グループによる、股関節の痛みの左右差についての解説記事です。AI姿勢分析とGIFTメソッドで、痛む右側だけでなく骨盤・背骨・反対側の脚まで含めたバランスのクセを見える化し、根本原因にアプローチします。

⚠️ こんなときは医療機関へ|股関節が右だけ痛いときに見逃したくないサイン

股関節は体重を支える大きな関節のため、次のようなサインがある場合は、姿勢のクセではなく別の原因が隠れていることがあります。自己判断は避け、まずは整形外科などの医療機関で評価を受けてください。

  • 安静にしていても強く痛む・夜間や明け方に痛みで目が覚める
  • 脚を動かせない・体重をかけられない・急に歩けなくなった
  • 転倒や事故のあとから急に痛み出した(高齢の方はとくに注意が必要です)
  • 発熱・強い腫れ・熱感・赤みを伴う
  • 脚の長さが変わった感じがする・関節がはまっていない感覚が続く
  • 体重が減っている、がんの既往やステロイドの使用歴・飲酒量が多い状態が続いている
  • 右だけでなく左の股関節にも同じ痛みが広がってきた(両側性の痛み)

とくに、右だけだった痛みが左にも広がる両側性の経過は、姿勢のクセだけでは説明しにくい変化です。左右そろって関節の変化が進む変形性股関節症や、全身の炎症性の関節疾患、腰の神経の通り道が狭くなる腰部脊柱管狭窄症などが背景にあるサインのことがあり、早めの評価が望まれます。また、股関節の内側(そけい部)の痛みでも、実際には腰やお尻、内臓側から響いていることもあります。安静時痛・夜間痛・発熱・体重をかけられない痛みのいずれかがあるときは、我慢して様子を見ず医療機関へご相談ください。

股関節が右だけ痛いのはなぜ?左右差が生まれる主な原因

右だけ痛いという状態は、右の股関節が特別に弱いのではなく、日々の動作で右側にばかり負担が集まり続けた結果として現れることが多いと考えられています。 人の体は完全な左右対称ではなく、立つ・歩く・座るのすべてに利き側のクセがあります。そのわずかな差が毎日積み重なることで、片側の関節にだけ負担が偏っていきます。

左右差が生まれる背景としては、次のような要因が重なっていることが多いとされています。

  • 重心のかたより(軸脚のクセ):立つときにいつも同じ脚へ体重を預けていると、その側の股関節だけが長時間、体重を受け続けます。片脚立ちで体重の約3〜4倍の負荷がかかるとされる関節に、片側だけ負担が集まる状態です。
  • 骨盤の傾き・左右差:骨盤が片側に傾いたりねじれたりしていると、太ももの骨のはまり方の角度が左右で変わり、片側の関節のふちにばかり圧が集中します。骨盤のゆがみが股関節の左右差につながる代表的なパターンです。
  • お尻の筋肉(中殿筋)の左右差:骨盤を水平に保つお尻の横の筋肉が片側だけ弱ると、歩くたびに骨盤が沈み込み、反対側の股関節へ余分な負担がかかります。歩き方の左右差として現れます。
  • 股関節まわりのこわばり:脚のつけ根(腸腰筋)やお尻の奥(梨状筋)が片側だけ硬くなると、関節の動く範囲が狭まり、動かし始めや脚を開く動作で痛みが出やすくなります。
  • 腰・膝からの連動:腰痛や膝の痛みをかばう歩き方が続くと、その負担のしわ寄せが同じ側、あるいは反対側の股関節へ移ることがあります。

股関節の左右差は、痛む側だけを見ていても原因の見当がつきにくいのが特徴です。むしろ、痛くない側の脚の使い方や骨盤の傾きを一緒に確認したほうが、なぜ右にばかり負担が集まっているのかが見えやすくなります。

右か左か——片側にばかり負担が集まる生活のクセ

右の股関節にだけ痛みが出る方には、立つ・座る・歩くのそれぞれに「いつも同じ側を使う」共通のクセがみられます。 心当たりのある動作を見つけることが、左右差を整える第一歩になります。

立ち方のクセ:いつも同じ脚に体重を預けている

信号待ちや家事の合間に、片脚へ体重を預けて休むように立つクセは多くの方にみられます。この姿勢では、体重を受けている側の股関節が長時間おされ続け、反対側のお尻の筋肉は使われないままになります。立ち仕事の方ほど積み重なりが大きく、夕方に片側だけ重だるくなる形で現れやすくなります。

座り方のクセ:脚を組む・横座り・浅く腰かける

いつも同じ側の脚を上にして組む、床で横座りをする、いすに浅く腰かけて骨盤を後ろに倒すといった座り方は、骨盤を片側へねじった状態で固定します。デスクワークが長い方では、座っている時間そのものが股関節の前側(脚のつけ根)を縮めた状態で続くため、立ち上がりの一歩目に痛みが出やすくなります。

「右だけ痛い」と「両側が痛い」の見分け方

姿勢のクセが背景にある痛みは、片側から始まり、休むと軽くなる・動作によって強さが変わるという特徴があります。一方、左右そろって同じように痛む、休んでも軽くならない、朝のこわばりが長く続くといった場合は、姿勢のクセ以外の背景が考えられます。右だけだった痛みが左にも広がってきたときは、赤旗のサインとして早めに医療機関で評価を受けてください。

痛む場所でわかる股関節のタイプ別セルフチェック

股関節の痛みは「どこが・どんな動作で」痛むかによって、関わっている筋肉や関節の部位の見当がつきやすくなります。 ご自身の右股関節の痛みが、次のどのタイプに近いかを確認してみてください。

タイプA:脚のつけ根(そけい部)の奥が痛む

脚のつけ根の内側、下着のラインのあたりに、奥まった痛みを感じるタイプです。あぐらをかく・靴下をはく・車の乗り降りといった、脚を曲げてひねる動作でつらくなりやすいのが特徴です。関節そのものの動きや、脚のつけ根の深い筋肉のこわばりが関わっていることがあります。

タイプB:お尻の外側・骨の出っ張りのあたりが痛む

お尻の横、太ももの外側にある骨の出っ張り(大転子)のあたりが痛むタイプです。横向きで寝ると下になった側が痛い、階段を上るときにつらいといった形で現れやすくなります。骨盤を支えるお尻の横の筋肉やその腱にかかる負担が関わることがあります。

タイプC:お尻の奥が痛み、太もも裏へ響く

お尻の奥深くに重だるい痛みがあり、太もも裏へ広がるように響くタイプです。長く座ったあとに強まりやすく、股関節というより坐骨神経痛に近い出方をすることもあります。お尻の奥の筋肉のこわばりが関わっている場合があります。

タイプD:動かし始めだけ痛み、動くうちに軽くなる

いすから立ち上がる一歩目、朝起きて歩き出すときだけ痛み、しばらく動くと軽くなるタイプです。関節まわりの筋肉が固まりやすい状態が背景にあることが多く、長く座り続けた日ほど強く出ます。動き出しの痛みが日ごとに長引くようになる場合は、早めに専門家へご相談ください。

【急性期】急に右の股関節が痛くなった直後の対処法

急に右の股関節が痛くなった直後(急性期・当日〜数日)は、まず赤旗のサインがないかを確認し、痛みが強まる動作を避けて関節にかかる負担を減らすことが基本です。 あわてて強く伸ばしたり、痛みをこらえて動かし続けたりせず、らくな姿勢で様子をみます。

急性期の落ち着かせ方は、次のポイントを意識します。

  • 痛みが強まる動作を避ける:脚を大きく開く・深くしゃがむ・あぐらをかくなど、痛みが増す動きを一時的に控えます。痛みの出ない範囲でゆっくり体重をかけるにとどめます。
  • 長時間の立ちっぱなし・歩きすぎを控える:体重が繰り返しかかる動作が続くと、関節まわりの負担が積み上がります。用事はまとめ、こまめに座って休みます。
  • 横向きで寝るときはひざの間にクッションを挟む:上側の脚が内側へ落ち込むと、お尻の外側が引き伸ばされて痛みが強まりやすくなります。ひざの間にクッションを挟むと骨盤が水平に保たれます。
  • 脚を組まない・左右均等に体重をかける:痛む側をかばうほど反対側へ負担が移ります。両足を床につけ、まっすぐ座る意識に切り替えます。

使いすぎや姿勢のクセで起きた股関節の痛みは、負担を減らす過ごし方で数日のうちにやわらいでいくことがほとんどです。一方、安静にしていても強く痛む、体重をかけられない、夜間に痛みで目が覚める、発熱を伴うといった場合は、急性期のうちでも早めに医療機関で評価を受けてください。急性期に痛む部分を強く押し込む・伸ばしきるのは避けたい対処です。

【回復期】股関節の左右差はどれくらいで和らぐ?回復の目安

姿勢のクセや使いすぎによる片側の股関節の痛みは、負担を減らして左右差を整えるケアを続けると、多くの場合で数日〜数週間ほどをかけて和らいでいくとされています。 あくまで一般的な目安で、痛みの背景や生活習慣によって回復までの期間は変わります。

回復期(痛みが出て数日目以降)の過ごし方の目安を整理します。

  • 数日目まで(急性期):痛みが強まる動作を避け、負担の少ない姿勢で休みます。座る時間・立つ時間をこまめに区切ります。
  • 数日〜2週間(回復期前半):痛みが落ち着いてきたら、脚のつけ根やお尻をやさしく伸ばすストレッチを、痛みの出ない範囲で始めます。歩く距離は少しずつ戻します。
  • 2週間〜1か月(回復期後半):お尻の横の筋肉を働かせる軽い運動を加え、片脚に体重を預ける立ち方や脚組みのクセを整えていきます。左右均等に使える体の使い方へ切り替える時期です。

目安として2〜4週間ほどケアを続けても軽くならない、痛む範囲が広がる、左側にも同じ痛みが出てきたという場合は、姿勢のクセ以外の背景が考えられます。長引く股関節の左右差は、痛む関節だけでなく骨盤・背骨・反対側の脚まで含めた評価に切り替えると、遠回りを避けやすくなります。

歩いてよい?運動してよい?右の股関節が痛いときの動作の可否

右の股関節が痛くても、痛みが強まらない範囲であればゆっくり歩いて体を動かすことは、関節まわりの血流をうながし回復を後押ししやすいとされています。 動かさずに固めてしまうより、無理のない範囲で動くほうがよい場合が多いと考えられています。

動作の可否は、次を目安に判断します。

  • 動かしてよい目安:痛みが軽く、歩いても強まらない・翌日に持ち越さない程度。平らな道でのゆっくりした散歩や、痛みの出ない範囲の体操は続けてよい範囲です。
  • 控えたい目安:一歩ごとに体重をかけられない、歩くほど痛みが強まる、足を引きずってしまう場合。無理に歩き続けず、赤旗のサインがないかを先に確認します。
  • 運動の再開:ランニング・ジャンプ・深くしゃがむ動作は、日常の歩行で痛みが出なくなってから段階的に戻します。まずは水中歩行や自転車こぎのような、体重のかかり方がやさしい運動から再開すると負担を抑えやすくなります。
  • 階段の使い方:上るときは痛くない左脚から、下りるときは痛む右脚からにすると、痛む側にかかる負担を減らせます。手すりがあれば必ず使います。

「動いてよいか休むべきか」で迷ったら、痛みが翌日に持ち越すかどうかを基準にすると分かりやすくなります。持ち越さない範囲の動きは続けてよい、持ち越すなら手前で止める、という考え方です。体重をかけられないほどの痛みが続くときは、自己判断を続けず専門家に相談してください。

冷やす?温める?股関節の痛みと冷温・入浴の考え方

姿勢のクセやこわばりが背景の股関節の痛みは、多くの場合「温めて血流をうながす」ほうが楽になりやすいとされています。 脚のつけ根やお尻の筋肉が硬いまま関節が動かされている状態では、冷えが痛みを強めやすいためです。

冷温・入浴の使い分けの目安を整理します。

  • 温めるとよい目安:慢性的な張り・冷え・動かし始めのこわばりが中心で、腫れや強い熱感がない痛み。入浴やホットタオルで脚のつけ根・お尻をじんわり温めると、こわばりがゆるみやすくなります。
  • 冷やしたほうがよい目安:ひねった直後・強くぶつけた直後などで、患部に腫れ・熱感があるとき。この場合はタオル越しに短時間冷やして安静にします。
  • 入浴のポイント:ぬるめ(38〜40度目安)のお湯にゆっくりつかると、体全体の血流がうながされ、就寝前のこわばりがやわらぎやすくなります。湯船の中で痛みの出ない範囲にひざを軽く曲げ伸ばしするのも役立ちます。

判断に迷うときは、「押すと熱を持っているか」を目安にし、熱感があるうちは冷やす、こわばり・冷えが中心なら温めるへ切り替えると整理しやすくなります。発熱や強い腫れ・赤みを伴うときは、温める前に赤旗のサインとして評価を受けてください。

自宅でできる股関節の左右差を整えるセルフケア・ストレッチ

股関節の左右差のセルフケアは、硬くなりやすい脚のつけ根とお尻をやさしく伸ばし、弱りやすいお尻の横の筋肉を働かせることが基本です。 痛みの強い急性期を避け、落ち着いてから、痛気持ちよい範囲で行います。左右どちらも同じ回数行い、差を埋めていく意識が役立ちます。

1. 脚のつけ根(腸腰筋)をやさしく伸ばす

床に片ひざ立ちになり、後ろ脚のつけ根が伸びるよう、背すじを立てたまま体をゆっくり前へ移します。腰を反らせず、おへそを軽く引き上げたまま20〜30秒キープします。座っている時間が長い方ほど、この前側の縮みが左右差の土台になりやすい部分です。

2. お尻の奥を「4の字」で伸ばす

いすに座り、痛むほうの足首を反対のひざにのせて数字の「4」の形をつくります。背すじを伸ばしたまま、上半身をゆっくり前へ倒すとお尻の奥が伸びます。20〜30秒キープし、反動をつけず呼吸を止めないのがコツです。左右の伸び具合の差を毎回確かめると、変化に気づきやすくなります。

3. お尻の横(中殿筋)を働かせる横向きの脚上げ

横向きに寝て、下の脚は軽く曲げ、上の脚をまっすぐ伸ばしたままゆっくり天井方向へ持ち上げます。骨盤が後ろへ倒れないよう気をつけ、痛みの出ない高さで止めます。左右同じ回数行うと、歩くときに骨盤を支える力の差が整いやすくなります。

4. 立ち方・座り方のリセット習慣

1時間に一度は立ち上がって姿勢を変え、立つときは両足に均等に体重を乗せ、座るときは両足を床につけて脚を組まないようにします。姿勢のクセを短い時間で何度もリセットすることが、自宅でできるもっとも手軽な左右差のセルフケアです。

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監修者より(総監修・執筆 安藝 泰弘/理学療法監修 村石 喜伸)

「右の股関節だけが痛いので、右ばかり伸ばしています」という声を、外来でもよく耳にします。理学療法の視点(村石)からお伝えすると、痛む側だけを念入りにケアするほど左右差は残りやすくなります。痛みが出ているのは負担を受け止めた側で、負担を送り込んでいるのは反対側の脚や骨盤であることが少なくないためです。まずは安静時の強い痛みや発熱など、見逃したくないサインがないかを確認し、そのうえで左右そろえて整える発想へ切り替えると回り道が減ります。総監修の安藝より——臨床28年・延べ施術人数15万人超、年間延べ80万人の患者様と向き合ってきた経験からも、片側だけの股関節の痛みは「いつも同じ脚に体重を預ける」という何気ないクセが背景にあることが多く、痛む関節だけでなく骨盤・背骨まで含めて見直すことが、戻りにくい状態づくりの近道だと考えています。

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股関節が右だけ痛いときにやってはいけない3つのこと

NG①:痛みをこらえて歩き続ける・使い続ける

「そのうち落ち着くだろう」と痛みをこらえて歩き続けるのは避けたい行動です。かばう歩き方が定着すると、反対側の脚や腰に新しい負担が生まれ、左右差がさらに広がります。体重をかけられない・足を引きずるほどの痛みがあるときの我慢は禁物で、早めに医療機関で評価を受けてください。

NG②:痛む脚のつけ根やお尻を強く押し込む・叩く

痛いからと、患部を体重をかけて強く押したり叩いたりするのは逆効果になりやすい選択です。関節まわりの組織への刺激で、かえって痛みが長引くことがあります。セルフケアは「痛気持ちよい範囲でやさしく」が基本です。

NG③:痛む側だけを念入りにストレッチする

動画で見た開脚ストレッチを、痛む右側だけ強く伸ばして続けるのは避けます。左右差は反対側の使い方から生まれていることが多く、片側だけを伸ばすと差が固定されやすくなります。痛みが増える動きは手前で止め、左右そろえて行うのが原則です。

股関節の左右差を繰り返さない予防と再発防止

片側の股関節の痛みを繰り返さないためには、同じ側にばかり体重を預けるクセをやめ、左右均等に使える体へ整えることが予防の基本です。 痛みが和らいだあとこそ、再発防止の習慣づくりが役立ちます。

  • 立つときは両足に均等に体重を乗せる:片脚重心をやめるだけでも、片側の関節が受け続ける負担は大きく変わります。気づいたら体重を配り直す習慣をつけます。
  • 脚を組まない・横座りをしない:骨盤をねじった状態で固定する座り方をやめ、両足を床につけて座ります。1時間に一度は立ち上がって姿勢を変えます。
  • お尻の横の筋肉を保つ:横向きの脚上げのような軽い運動を続けると、歩くときに骨盤を支える力の左右差が広がりにくくなります。
  • 体を冷やさない:脚のつけ根やお尻の冷えはこわばりの引き金になりやすいため、入浴・保温の習慣が役立ちます。
  • 骨盤・背骨のクセを整える:反り腰や骨盤の傾きなど、片側へ負担を集める姿勢は、骨盤矯正の視点で土台から整えると繰り返しにくくなります。

靴・インソール・クッションの選び方

すり減り方が左右で大きく違う靴を履き続けると、足元から入る傾きがそのまま骨盤へ伝わります。かかとがしっかり支えられ、左右のすり減りが偏っていない靴を選ぶことが土台になります。インソールは左右差を補う目的で用いられることがあり、体に合うかどうかは実際に歩いて確かめるのが確実です。デスクワークでは、坐骨が沈み込みすぎない硬さのクッションを使うと骨盤が立ちやすくなります。横向きで寝る方は、ひざの間にクッションを挟むと骨盤が水平に保たれ、お尻の外側の張りがやわらぎやすくなります。

何度も同じ側の股関節が痛くなるという方は、痛む関節のケアだけでなく、体の土台である立ち方・座り方・靴の見直しをあわせると、繰り返しにくい状態へ近づけます。長引く・慢性化しやすい左右差ほど、根本の姿勢から見直す価値があります。

【詳しく知りたい方へ】股関節に左右差が生まれる医学的メカニズム

股関節の左右差の多くは、関節そのものの形が生まれつき大きく違うからではなく、荷重のかかり方が左右で偏り続けることで生じる、変えられる状態と考えられています。 ポイントを整理します。

1. 荷重の集中と関節への負担

股関節は骨盤側のくぼみに太ももの骨の丸い先端がはまり込む球関節で、体重を広い面で受け止める構造をしています。骨盤が傾いて接する角度が変わると、受け止める面が狭くなり、同じ体重でも一部にかかる圧が高まります。片脚で立つ瞬間に体重の約3〜4倍の負荷がかかるとされる関節では、この差が毎日の歩数だけ積み重なります。

2. 骨盤の傾きと左右非対称のつながり

骨盤は左右の脚と背骨をつなぐ土台のため、片側が下がったりねじれたりすると、脚の長さの感じ方や体重の乗り方が左右で変わります。この非対称は姿勢の評価で確認できる範囲のものが多く、当グループの創業者が筆頭著者として発表したPLOS ONEの研究でも、健康な成人において安静時の左右非対称と筋のこわばりとの関連が報告されています。

3. 筋のこわばりと動く範囲の左右差

脚のつけ根の深い筋肉やお尻の奥の筋肉が片側だけ硬くなると、関節の動く範囲が狭まり、同じ動作でも関節のふちに当たりやすくなります。動かし始めの痛みや、脚を開いたときのつまり感は、この動く範囲の左右差として現れることがあります。股関節の左右差は、関節そのものより、まわりの筋肉と骨盤のバランスを整える視点で見直すと、根本にアプローチしやすくなります。

GIFTの視点:揉まない・押さない股関節の左右差へのアプローチ

こころ整体院グループのGIFTメソッドは、「揉まない・押さない・整える」が基本コンセプトです。痛む右の脚のつけ根を強い刺激で押しほぐすのではなく、負担が片側へ集まる骨盤・背骨・反対側の脚の使い方を見直し、関節が本来の面で体重を受けられる土台づくりをサポートします。なお、マッサージは即効性に優れる一方、姿勢の根本要因(骨盤や背骨のバランス)へのアプローチが難しい場合があります。

  1. AI姿勢分析で左右差を見える化 … AI姿勢分析で、骨盤の傾きや左右差、重心の前後バランスを数値とビジュアルで確認します。
  2. 姿勢のクセに合わせて整える … 痛む股関節だけでなく、骨盤・腰・反対側の脚の動きも含めて整え、片側への負担集中を減らします。
  3. セルフケアで定着 … 院でのケアと、ご自宅でできる脚のつけ根・お尻のストレッチや立ち方の見直しを組み合わせ、戻りにくい状態を目指します。
AI姿勢分析

まとめ

股関節が右だけ痛いという状態は、多くの場合、立ち方・座り方・歩き方のクセによって片側にばかり負担が積み重なった結果であり、負担を減らして左右差を整えるセルフケアと習慣の見直しで、数日〜数週間ほどをかけて和らいでいくとされています。大切なのは、安静時の強い痛み・夜間痛・体重をかけられない・発熱・左側へも広がる両側性の痛みといった見逃したくないサインを見分けること、そして痛む場所(脚のつけ根・お尻の外側・お尻の奥・動かし始めだけ)に合わせて対処を選ぶことです。急性期は痛みが強まる動作を避けて休み、落ち着いたら脚のつけ根とお尻をやさしく伸ばし、お尻の横の筋肉を左右そろえて働かせる——この順番を意識すると回復の遠回りを避けやすくなります。長引く・繰り返す片側の股関節の痛みは、痛む関節だけでなく骨盤・姿勢の見直しが近道です。お近くのこころ整体院グループの店舗で、AI姿勢分析を起点に股関節と姿勢の状態を確認してみてください。

関連する症状の解説(こころ整体院グループ)
  • 股関節痛:脚のつけ根・お尻まわりのこわばりと股関節の不調の解説。
  • 骨盤のゆがみ:左右差の土台になりやすい骨盤の傾きとケア。
  • 骨盤矯正:片側に負担を集める姿勢のクセの整え方。
  • 腰痛:股関節をかばう歩き方と関連しやすい腰の負担。
  • 坐骨神経痛:お尻の奥から太もも裏へ響く痛みの解説。
  • 膝痛・関節痛:下肢の使い方のクセと連動する不調。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 股関節が右だけ痛いのはどうしてですか?

右の股関節が特別に弱いというより、立つときにいつも右脚へ体重を預ける、同じ側で脚を組むといったクセで、右側にばかり負担が積み重なっていることが多いと考えられています。骨盤の傾きやお尻の横の筋力差も左右差の背景になりやすく、痛む側だけでなく反対側の脚の使い方まで一緒に見ていくと原因の見当がつきやすくなります。

Q2: 片側だけの股関節の痛みはどれくらいで和らぎますか?

姿勢のクセや使いすぎによる痛みは、負担を減らすケアを続けると、多くの場合で数日〜数週間ほどをかけて和らいでいくとされています。2〜4週間ほど続けても軽くならない、痛む範囲が広がるというときは、姿勢のクセ以外の背景が考えられるため、店舗や医療機関でご相談ください。

Q3: 右だけだった痛みが左の股関節にも出てきました。どうすればよいですか?

片側から始まった痛みが両側へ広がる経過は、姿勢のクセだけでは説明しにくい変化です。左右そろって関節の変化が進んでいるサインや、全身の炎症性の変化、腰の神経の関与が背景にあることがあります。様子を見ず、早めに整形外科などの医療機関で評価を受けてください。

Q4: 股関節が痛いとき、歩いてもよいですか?

痛みが軽く、歩いても強まらない・翌日に持ち越さない程度なら、平らな道をゆっくり歩くのはむしろ血流をうながして回復を後押ししやすくなります。体重をかけられない、足を引きずってしまう、歩くほど痛みが強まるという場合は、無理に歩き続けず先に赤旗のサインを確認してください。

Q5: 股関節の痛みは冷やすのと温めるのどちらがよいですか?

冷え・こわばり・動かし始めのつらさが中心のときは温めて血流をうながすほうが楽になりやすく、ひねった直後などで腫れ・熱感があるときは、タオル越しに短時間冷やして安静にするのが目安です。ぬるめ(38〜40度目安)の入浴で脚のつけ根やお尻をじんわり温めると、こわばりがゆるみやすくなります。

Q6: 脚のつけ根の奥が痛むときは何が関わっていますか?

あぐらをかく・靴下をはく・車の乗り降りといった、脚を曲げてひねる動作でつらくなる場合は、関節そのものの動く範囲や、脚のつけ根の深い筋肉のこわばりが関わっていることがあります。座っている時間が長い方ほど前側が縮みやすいため、脚のつけ根をやさしく伸ばすケアが役立ちます。

Q7: 横向きで寝ると下になった側の股関節が痛みます。どうすればよいですか?

お尻の横、骨の出っ張り(大転子)のあたりに圧が集まっている状態が考えられます。痛む側を上にして横向きになり、ひざの間にクッションを挟むと骨盤が水平に保たれ、お尻の外側の張りがやわらぎやすくなります。マットレスが硬すぎる場合は、上に薄手のパッドを重ねるのも役立ちます。

Q8: 股関節のストレッチはいつから始めてよいですか?

痛みが強い急性期は避け、落ち着いてから、痛気持ちよい範囲で始めます。脚のつけ根やお尻を、反動をつけず20〜30秒かけてゆっくり伸ばすのがコツです。伸ばして痛みが増える場合は手前で止め、痛む側だけでなく左右そろえて同じ回数行うようにします。

Q9: 痛む右側だけを念入りにケアしてもよいですか?

痛みが出ているのは負担を受け止めた側で、負担を送り込んでいるのは反対側の脚や骨盤であることが少なくありません。右側だけを念入りに伸ばすと左右差が固定されやすくなるため、左右そろえて同じ回数行い、立ち方や座り方のクセも一緒に整えると回り道が減ります。

Q10: 整体では片側だけの股関節の痛みにどうアプローチしますか?

こころ整体院グループでは、AI姿勢分析で骨盤の傾きや左右差を確認し、痛む股関節だけでなく骨盤・背骨・反対側の脚を含めて姿勢全体を整えるGIFTメソッドでサポートします。詳しくは全国の店舗からお近くの院にお問い合わせください。

参考文献

  1. 日本整形外科学会「変形性股関節症・股関節の痛み」一般向け解説.
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット(姿勢・運動と身体の不調に関する解説).
  3. 日本股関節学会ほか「股関節疾患の一般向け情報」.
  4. 安藝泰弘, 沖野一平, 津山元気, 谷津義康, 西条寿夫, 髙本考一(2025)「健康な成人における安静時肩甲骨位置の非対称性と僧帽筋上部の潜在性トリガーポイントとの関連」PLOS ONE 20(10): e0335268. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0335268

執筆・監修者

安藝 泰弘(あき やすひろ)
柔道整復師/giversホールディングス 代表取締役・東亜大学大学院 博士課程
こころ整体院グループ 創業者(本記事の執筆・総監修)。

1996年柔道整復師資格取得。臨床28年・延べ施術人数15万人超。2025年にPLOS ONE誌へ姿勢分析に関する研究論文を筆頭著者として発表。「揉まずに整える」GIFTメソッドを開発し、全国の整体院グループ・年間延べ80万人来院規模へと育てた。

村石 喜伸(むらいし よしのぶ)
理学療法士/givers PT 代表
本記事の理学療法監修を担当。リハビリテーション・運動器評価の視点から、股関節の左右差のセルフケアと再発予防を監修。