膝の内側が痛い|4つの原因と痛みが集中する理由
この記事のポイント
膝の内側の痛みは、変形性膝関節症・鵞足炎・内側半月板損傷・タナ障害の4つが主な原因。年代・痛む場面・押す場所の3つで絞り込めます。「なぜ内側ばかり痛むのか」には、O脚・ラテラルスラスト・筋力低下・扁平足という全身の連動の崩れが関わっています。
膝の内側の痛み —
4つの原因と見分け方
膝の内側には多くの組織が集まっています。内側の軟骨、内側半月板、内側側副靭帯、そして3つの筋肉が合流する「鵞足」。どの組織にストレスがかかっているかで痛みの原因が変わりますが、年代・痛む場面・押して痛い場所の3つで大まかに絞り込むことができます。
| 疾患 | 多い年代 | 痛む場面 |
|---|---|---|
| 変形性膝関節症関節裂隙を押すと痛い | 50代以降 | 立ち上がり・階段・歩き始め |
| 鵞足炎お皿の下5-7cm内側が痛い | 20〜60代 | ランニング・階段・方向転換 |
| 内側半月板損傷関節裂隙+引っかかり感 | 全年代 | 膝をひねった時・深く曲げた時 |
| タナ障害お皿の内側やや上方が痛い | 10〜30代 | 膝の曲げ伸ばし・階段下り |
※自己判断で確定はできません。痛みが2週間以上続く場合は整形外科でのレントゲン・MRI検査をお勧めします。
すぐに整形外科を受診すべきケース
1. 膝が熱を持って腫れている
2. 体重をかけられないほど痛い
3. ケガの直後(ひねった・ぶつけた)
4. 膝が動かなくなる(ロッキング)
4つの疾患 —
それぞれの特徴と注意点
同じ「内側の痛み」でも、原因が違えば対処法がまったく異なります。
変形性膝関節症(50代以降に多い)
膝関節の内側の軟骨がすり減り、骨同士の隙間が狭くなることで痛みが出ます。日本人の膝OAの約9割が内側型(O脚方向の変形)です。朝の動き始めに痛く、動いているうちに楽になり、長時間歩くとまた痛む。この「動き始めの痛み」が初期の特徴です。
鵞足炎(ランナーや中高年の女性に多い)
膝の内側やや下に、縫工筋・薄筋・半腱様筋の3つの筋肉が合流して脛骨に付着する「鵞足」があります。この付着部の滑液包に炎症が起こるのが鵞足炎です。ランニングや方向転換の多いスポーツ、階段の昇り降りで痛みが出ます。O脚・扁平足の方、女性(骨盤が広く膝の外反角度が大きいため)に多いのが特徴です。
注目すべきは、膝OA患者の最大75%に鵞足炎の症状が合併するという報告です。膝OAと鵞足炎は別の疾患ですが、膝の内側に負荷が集中する構造的問題を共有しています。
内側半月板損傷(全年代)
膝関節の内側にあるクッション(内側半月板)が傷つくことで痛みが出ます。若い方はスポーツ中のひねり動作、40代以降は加齢による変性が原因になります。膝を深く曲げたときの引っかかり感やロッキング(膝が動かなくなる)が特徴です。
タナ障害(10〜30代に多い)
膝のお皿の内側に「滑膜ヒダ(タナ)」という薄い膜があり、これが肥厚・炎症を起こすと膝の曲げ伸ばしで「カクッ」と引っかかる感覚や痛みが出ます。スポーツ選手に多く見られます。
日本整形外科学会. 変形性膝関節症:内側型が約9割を占める。
StatPearls - NCBI Bookshelf. Pes Anserine Bursitis (2024):鵞足の3筋と機能。膝OA患者の最大75%に鵞足炎が合併。
Fox AJS, et al. Sports Health. 2012;4(4):340-351:半月板の基礎科学レビュー。
Kim SJ, et al. Arthroscopy. 2007;23(12):1320-1325:滑膜ヒダ(タナ)の分類と臨床的意義。
なぜ「内側ばかり」痛むのか —
全身のメカニズム
「膝が痛い」と言えば、ほとんどの方が「内側」を指します。これは偶然ではなく、力学的に内側に負荷が集中する構造があるからです。
内側に負荷が集中する4つの理由
1. O脚(内反膝)傾向 — 日本人は骨格的にO脚傾向が多く、立位で膝の内側に荷重が偏りやすい。O脚が進むと内側の軟骨・半月板にかかる圧力が増大し、すり減りが加速します。
2. ラテラルスラスト — 歩行時に膝が外側にブレる現象です。一歩ごとに膝の内側を圧縮する力が働きます。研究では、ラテラルスラストがある膝はOAの進行リスクが4倍に増大すると報告されています。
3. 内側広筋(VMO)の弱化 — 膝の痛みにより、脳が無意識に太もも内側の筋肉のスイッチを切ってしまう現象(関節原性筋抑制)が起こります。内側広筋が弱くなると膝の内側への力学的ストレスがさらに増大します。
4. 足部の過回内(扁平足) — 足のアーチが低下すると膝の外反ストレスが増大し、鵞足部への負荷が増えます。
つまり、「内側が痛い」のは膝だけの問題ではありません。O脚を作り出している骨盤や股関節の状態、ラテラルスラストを止められない臀筋群の弱さ、足部のアーチの低下など、全身の連動の崩れが膝の内側に集約されて痛みになっています。
さらに、歩行時には「脊椎の回旋→骨盤の回旋→脛骨の回旋」という対側回旋パターンが存在します。脊椎の回旋が制限されると、骨盤帯と膝に回旋の代償が集中し、膝の内側へのねじれストレスが増大します。
Chang A, et al. Arthritis Rheum. 2004;50(12):3897-3903:ラテラルスラストは膝OA進行リスクを4倍に増大(調整OR 3.96)。
Rice DA, McNair PJ. Arthritis Res Ther. 2010;12:R154:関節原性筋活動抑制(AMI)により内側広筋が不活性化。
Alvarez-Nemegyei J. JCR. 2007:外反膝変形が鵞足炎の独立したリスク因子(OR 5.2)。
De Blaiser C, et al. Am J Sports Med. 2019;47(7):1713-1721:体幹安定性の低下が下肢オーバーユース障害のリスク因子。
自分でできること —
原因別のセルフケア
全疾患に共通:内側広筋の活性化(タオルつぶし)
椅子に座り、両膝の間に丸めたタオルを挟みます。両膝を内側に閉じてタオルを「ギュッ」と押しつぶすように力を入れ、5秒キープ→5秒休む。これを10回。太ももの内側に力が入る感覚があればOKです。この「タオルつぶし」は内転筋と内側広筋を同時に刺激する最もシンプルな方法であり、鵞足炎・膝OAいずれのリハビリガイドラインでも推奨されています。
変形性膝関節症タイプの方
歩き始めに痛い方:動き出す前にタオルつぶしを10回
膝が完全に伸びない方:膝の下にタオルを入れて膝を伸ばすストレッチ(20秒×3回)を併用
体重管理:1kg減で膝への負荷は歩行時に約3kg減少
鵞足炎タイプの方
ハムストリング+内転筋のストレッチ:床に座って片脚を伸ばし、つま先に手を伸ばす前屈ストレッチ。20秒×3回、1日に数回。
運動後のアイシング:15分。
インソール:O脚や扁平足がある方は、足のアーチをサポートするインソールも検討。
内側半月板損傷タイプの方
引っかかり感やロッキングがある場合は、まず整形外科でMRI検査を受けてください。軽度の場合は、内側広筋の活性化と股関節の柔軟性確保が有効です。深く膝を曲げる動作(正座・しゃがみ込み等)は避けてください。
整体院でできること —
GIFTメソッドによるアプローチ
膝の内側の痛みに対して「膝だけ」を見ても、一時的に楽になるだけでまた痛みが戻ります。内側に異常な負荷がかかり続ける全身のメカニズムを変えなければ、同じことの繰り返しです。
膝の内側の痛みに対するGIFTの4つの視点
G(Gliding)= 組織の滑りの回復 — 膝蓋骨や膝蓋下脂肪体の滑走不全を改善。鵞足炎の場合は鵞足付着部周囲の筋膜の滑走性を回復させます。
I(Inner)= 深層筋の活性化 — 内側広筋が使えなくなっていないかを検査。鵞足炎では、起始停止テクニックで縫工筋の活性度を上げます。
F(Form)= 姿勢・動作の修正 — 脊椎の回旋制限、ラテラルスラスト、足部のアーチまで全身の連動を評価・改善。施術後はキネシオテープで膝の安定性を維持します。
T(Trigger)= トリガーポイント解除 — 大臀筋・中臀筋・大腿筋膜張筋の過緊張を解除。鵞足構成筋のトリガーポイントも処理します。
多くの方がPhase 1で「膝の安定感が変わった」「階段が楽になった」と変化を感じます。構造的な問題が強い場合は、提携の整形外科をご紹介しています。
Rice DA, McNair PJ. Arthritis Res Ther. 2010;12:R154:AMIにより内側広筋が不活性化。
Homayouni K, et al. Physician and Sportsmedicine. 2016:鵞足炎に対するキネシオテーピングのRCT。
De Blaiser C, et al. Am J Sports Med. 2019:体幹安定性の低下が下肢障害のリスク因子。
膝の内側の痛みに関する
よくある質問
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※本ページの内容は、一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を行うものではありません。症状が重い場合や、急な膝の腫れ・ロッキング・膝崩れがある場合は、まず医療機関を受診してください。
※「改善」「緩和」等の表現は施術による一般的な体感の変化を示すものであり、効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。
※本ページは2025年2月18日施行の厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」ガイドラインおよび景品表示法に準拠して作成しています。
最終更新日:2026年3月26日|監修:安藝泰弘(医療法人奥山会常務理事・柔道整復師・東亜大学大学院博士課程)、萩原三郎(NATA公認ATC)

