「膝のお皿の下が痛い」「膝の前側がズキズキする」「レントゲンでは異常なしと言われたのに膝が痛い」——センター北・横浜市都筑区エリアでも、このような膝の前側の痛みに悩む方は非常に多くいらっしゃいます。特に10代〜30代の女性に多いこのタイプの膝痛は、AKPS(Anterior Knee Pain Syndrome:前膝痛症候群)と呼ばれています。
整形外科でレントゲンを撮っても異常なし、湿布や注射で一時的に楽になってもまた痛くなる——そんな経験はありませんか? 近年の研究により、このような原因不明とされてきた膝の前の痛みの多くが膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)の炎症や圧迫によるものだと分かってきました。
この記事では、センター北の膝痛専門 こころ整体院 byコレクトの視点から、膝蓋下脂肪体の仕組み・痛みの特徴・自分でできるセルフケア・やってはいけないNG行動まで詳しく解説します。
- 膝のお皿の下の痛みの多くは膝蓋下脂肪体の炎症・圧迫が原因
- 膝蓋下脂肪体は神経が豊富で痛みを感じやすい組織
- レントゲンには写らないため、従来は原因不明とされることが多かった
- 膝を伸ばした状態で横・縦方向に動かすセルフケアが有効
- セルフケアで改善しない場合はエコー検査で原因を特定することが重要
- 膝のお皿の下を押すと痛い
- 膝の前側がズキズキ・重だるく痛む
- 階段の上り下りで膝の前が痛い
- レントゲンで「異常なし」と言われた
- 湿布や注射をしても繰り返し痛くなる
- 膝を曲げ始めるときに引っかかる感じがある
2つ以上当てはまる方は、膝蓋下脂肪体が痛みの原因である可能性があります。
膝蓋下脂肪体とは?
膝蓋下脂肪体は、膝のお皿(膝蓋骨)の下にある脂肪組織です。「脂肪」と聞くとお腹の脂肪や体脂肪をイメージするかもしれませんが、膝蓋下脂肪体はそれらとはまったく異なります。
膝蓋下脂肪体は関節の中に存在する脂肪で、関節を安定させるクッションとしての役割を担っています。いわば「関節を守るクッション材」のような存在です。
膝蓋下脂肪体の位置
膝蓋下脂肪体は、膝蓋腱(お皿の下の腱)と脛骨の間に位置しています。膝を曲げると関節の奥に入り込み、膝を伸ばすと前方に出てきます。
この構造のため、膝の動きが悪かったり膝がねじれていたりすると、脂肪体に過度な圧がかかって痛みが出やすくなります。
膝蓋下脂肪体が痛みを感じやすい理由
膝蓋下脂肪体は神経が非常に多い組織です。そのため圧迫・摩擦・炎症が起こると強い痛みを感じやすいという特徴があります。
痛みの感じ方は人によって異なり、鈍い痛み、重だるい痛み、嫌な違和感など、さまざまな表現で訴えられます。
膝のお皿の下が痛い原因——膝蓋下脂肪体の痛みのメカニズム
膝の前やお皿の下の痛みの多くは膝蓋下脂肪体の炎症や圧迫によるものです。以前はレントゲンにもMRIにも映りにくく、「原因不明の膝痛」として扱われてきました。特に若い女性に多いこの症状はAKPS(Anterior Knee Pain Syndrome)と呼ばれています。
膝蓋下脂肪体の痛みの特徴
このタイプの膝痛は、症状に非常に個人差があります。歩くと痛い、階段で痛い、立ち上がりで痛い、振り向いたときに痛い、曲げ始めに痛いなど、痛みが出る動作が人によって異なるのが特徴です。
膝蓋骨の位置と脂肪体の関係
膝蓋下脂肪体の痛みには、膝蓋骨(お皿)の位置も関係します。
- 膝蓋骨低位:お皿が通常より下がっている状態。脂肪体に常に圧がかかり痛みが出やすい
- 膝蓋骨高位:お皿が上に引き上げられている状態。脂肪体が引っ張られて痛みの原因になる
手術後の癒着
半月板手術や靭帯手術のあとに、膝蓋下脂肪体が癒着するケースがあります。癒着が起こると、膝を伸ばしたときに脂肪体が前方に出にくくなり、関節内の圧が高まって膝の前に痛みが生じます。
なぜ湿布やマッサージだけでは改善しにくいのか?——「滑走不全」という視点
膝蓋下脂肪体の痛みが湿布やマッサージだけで改善しにくい背景には、滑走不全(Fascial Gliding Dysfunction)という状態が関わっている場合があります。
滑走不全とは、筋膜・脂肪体・関節包などの組織間の「滑り(滑走性)」が悪くなった状態です。イタリアの筋膜研究者Steccoらの研究では、組織間に存在するヒアルロン酸が変性・濃縮(Densification)することで滑走性が失われるメカニズムが報告されています。
湿布は炎症を一時的に抑える作用がありますが、組織の滑走性そのものを回復させるわけではありません。マッサージも表面の筋緊張を和らげることはできますが、脂肪体の癒着や滑走不全に対しては十分なアプローチとは言えません。
膝蓋下脂肪体の痛みを根本から改善するためには、脂肪体や周囲の筋膜の滑走性を回復させるアプローチが重要になります。
膝蓋下脂肪体のセルフケア
膝蓋下脂肪体を緩めるセルフケアは、膝を伸ばした状態で行うことがポイントです。膝を曲げると脂肪体が関節の中に入り込むため、触りにくくなってしまいます。
セルフケア① 横方向に動かす
膝のお皿の下(膝蓋腱の両脇)を指で触ります。
- 内側から外側へゆっくり押す
- 外側から内側へゆっくり押す
これを10〜15回繰り返します。左右に動かすことで、脂肪体の柔軟性が改善していきます。
セルフケア② 上下に動かす
- 膝蓋靭帯の上から下方向にゆっくり押す
- 下から上方向にゆっくり押し上げる
こちらも10〜15回繰り返します。脂肪体は横方向だけでなく、縦方向にもしっかり動くことが大切です。
実施のタイミング:入浴後など体が温まった状態で行うのがおすすめです。1日1〜2回を目安に、2〜3週間継続してみてください。
セルフケアで改善しない場合は? ——byコレクトのアプローチ
2〜3週間セルフケアを続けても痛みに変化がない場合、脂肪体の癒着や滑走不全が進んでいる可能性があります。その場合は、専門的な評価と施術を受けることが改善への近道です。
Step 1. エコー検査による画像評価
超音波エコーを使って膝蓋下脂肪体の状態をリアルタイムで確認します。レントゲンでは映らない脂肪体の炎症・肥厚・癒着の有無を画像で評価し、痛みの根本原因を特定します。
Step 2. 筋膜リリースによる癒着の解消
脂肪体や周囲の筋膜に生じた癒着・滑走不全に対して、手技による筋膜リリースを行います。組織間の滑走性を回復させることで、動作時の痛みの軽減を目指します。
Step 3. 膝関節の軸矯正+運動療法
膝にかかる負担を根本から軽減するために、膝関節のアライメント(軸)を矯正し、再発を防ぐための運動療法を指導します。脂肪体への過度な圧迫を防ぐ膝の使い方を身につけることが重要です。
膝蓋下脂肪体が痛いときにやってはいけないNG行動
- 膝を強く曲げた状態で長時間座る:正座やしゃがみ姿勢は脂肪体を圧迫し、炎症を悪化させます
- 痛みを我慢して無理に運動する:脂肪体の炎症が進行し、癒着が生じる原因になります
- 膝のお皿をグリグリ強く押す:セルフケアのつもりでも、強い圧は逆効果です。優しい力で動かしましょう
- 膝を完全に伸ばしきった状態で衝撃を加える:膝の過伸展は脂肪体を挟み込み、痛みを増幅させます
- 湿布だけに頼って放置する:一時的な鎮痛効果はありますが、滑走不全や癒着は解消されません
よくある質問(FAQ)
Q. 膝蓋下脂肪体はレントゲンに写りますか?
写りません。膝蓋下脂肪体は軟部組織のため、レントゲンでは確認できません。そのため以前は原因不明の膝痛とされることが多くありました。超音波エコー検査であればリアルタイムで脂肪体の状態を確認できます。
Q. 若い人でも膝蓋下脂肪体の痛みは起こりますか?
はい。膝蓋下脂肪体の痛みは、特に10代〜30代の女性に多いとされています。加齢による変形がなくても発症するため、若い方の膝の前の痛みでは積極的に疑う必要があります。
Q. 変形性膝関節症でも膝蓋下脂肪体の痛みは起こりますか?
はい。変形性膝関節症がある方でも、痛みの原因が膝蓋下脂肪体の炎症であるケースは少なくありません。膝の変形と脂肪体の問題は併存することがあり、脂肪体へのアプローチで痛みが和らぐ場合もあります。
Q. セルフケアはどのくらいの期間続ければよいですか?
まずは2〜3週間を目安に毎日続けてみてください。痛みの程度が軽い場合は、1〜2週間で改善を実感できることもあります。2〜3週間続けても変化がない場合は、癒着や滑走不全が進んでいる可能性があるため、専門家への相談をおすすめします。
Q. 膝蓋下脂肪体の痛みと半月板損傷はどう見分けますか?
膝蓋下脂肪体の痛みは主に膝の前側(お皿の下)に出るのに対し、半月板損傷は膝の内側や外側に痛みが出やすい傾向があります。ただし症状だけでの鑑別は難しいため、エコー検査やMRIによる画像評価を受けることが確実です。
センター北で膝の前の痛みに悩んでいる方へ
横浜市都筑区のセンター北周辺でも、「膝のお皿の下が痛い」「階段で膝が痛い」「歩くと膝の前が痛い」というご相談は非常に多くいただいています。
膝の前の痛みは、原因が分かれば改善できるケースも多くあります。膝蓋下脂肪体の痛みは画像検査と適切なアプローチによって変化が期待できる症状です。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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まとめ
- 膝の前やお皿の下の痛みの多くは膝蓋下脂肪体の炎症・圧迫が原因
- 膝蓋下脂肪体は神経が多く・圧に弱い組織であり、痛みを感じやすい
- レントゲンには映らないため、エコー検査での評価が有効
- セルフケアでは膝を伸ばした状態で脂肪体を横・縦方向に動かすことが重要
- 2〜3週間で改善しない場合は、滑走不全や癒着が進んでいる可能性あり
- 膝蓋下脂肪体の問題は、変形性膝関節症・半月板損傷など他の疾患にも併存しやすい
膝の前の痛みでお困りの方は、まず今回紹介したセルフケアを試してみてください。それでも改善しない場合は、膝痛の専門家に相談することで、あなたの膝の痛みの原因を明確にし、適切な改善策を見つけることができます。
参考文献
- Dragoo JL, et al. "The infrapatellar fat pad: an anatomical, biomechanical, and clinical review." Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy. 2012;20(3):373-382.
- Ioan-Facsinay A, Kloppenburg M. "An emerging player in knee osteoarthritis: the infrapatellar fat pad." Arthritis Research & Therapy. 2013;15(6):225.
- Stecco C, et al. "Fascial Disorders: Implications for Treatment." PM&R. 2013;5(10):892-899.
- Macchi V, et al. "The infrapatellar fat pad and the synovial membrane: an anatomo-functional unit." Journal of Anatomy. 2018;233(2):146-154.
- Aki Y, et al. "Relationship between the asymmetry of the resting scapular position and myofascial trigger points in the upper trapezius muscle." PLOS ONE. 2025. doi:10.1371/journal.pone.0335268
柔道整復師|人間科学修士
2006年にこころ整骨院を創業し、現在は国内外164拠点のヘルスケア事業を統括。臨床と経営の傍ら東亜大学大学院にて人間科学修士号を取得し、2025年に国際学術誌『PLOS ONE』に筋膜トリガーポイントと肩甲骨アライメントに関する研究論文を筆頭著者として発表。科学的根拠に基づく独自メソッド「GIFT」を開発。
- 研究者ID (ORCID): 0009-0002-5707-6121
- 主要論文 (PLOS ONE): Relationship between the asymmetry of the resting scapular position...







