ふくらはぎが痛いとき、いちばん遠回りになりやすいのは「良かれと思ってやった手当て」です。 競技者5,397名を対象にした調査では、将来ふくらはぎを痛めることに最も強く結びついていたのは、年齢が上がることと過去に同じ場所を痛めた経験の2つだと報告されています。つまり、いま痛みが引いたかどうかより、戻す順番を守ったかどうかが次の1年を左右します。腫れと熱っぽさがある日にもみほぐす、痛みが残るうちに走る量を戻す、当日に熱い湯へ長くつかる——この3つは、よくある行動でありながら、痛みを長引かせる側に働きます。この記事では、やってはいけない7つの行動と、その代わりに置ける3つの過ごし方を、順番つきで整理します。
こちらは全国125店舗・年間延べ80万人の患者様に向き合ってきたこころ整体院グループによる、ふくらはぎの痛みの解説記事です。AI姿勢分析とGIFTメソッドで、痛むふくらはぎだけでなく、骨盤や姿勢まで確かめ、片脚へ負担が集まるクセへアプローチします。
⚠️ こんなときは医療機関へ|ふくらはぎで様子を見ずに相談したいサイン
ふくらはぎの痛みの多くは、歩いた量・立っていた時間・靴の変化といった負担の積み重ねが背景にあると考えられています。一方で、ふくらはぎは脚の血を心臓へ送り返す通り道でもあるため、血のめぐりに関わるサインが出ることがあります。次の項目に当てはまるときは、自己判断で様子を見ず、まずは医療機関で評価を受けてください。
- 片方のふくらはぎだけが急に腫れ、熱っぽく、赤みがある(靴下のあとがくっきり残る/左右の太さが明らかに違う)
- その腫れに、息苦しさ・胸の痛み・急に息が切れる・気が遠くなる感じが重なっている(この組み合わせは急いで相談したいサインです)
- ふくらはぎに「ブチッ」という音や感覚があり、そのあとつま先立ちができない・かかとを上げられない
- 歩くとふくらはぎが痛くなり、少し休むとまた歩ける——これを繰り返す(脚の血のめぐりに関わるサインのことがあります)
- 足の甲やすねの外側の感覚が鈍い/足首が持ち上がらない・つま先が引っかかる(神経に関わるサインのことがあります)
- 強くぶつけたあと、ふくらはぎがパンパンに張って、しびれや冷たさが出てきた
- 安静にしていても痛みが強い/横になっても引かず、夜中に痛みで目が覚める
- けがをしていないのに皮膚の赤みが広がっている/発熱をともなう
- 妊娠中・産後である、長時間の移動や安静が続いたあとである、大きなご病気で通院中である
- 日に日に痛みが強くなる/2週間以上、変化が見られない
厚生労働省は、長い時間足を動かさずに同じ姿勢でいると血のめぐりが悪くなって血のかたまりができ、それが肺に詰まると肺塞栓を誘発するおそれがあると案内しています。片側だけの腫れ・熱っぽさ・赤みと、胸の痛みや息苦しさがそろうときは、脚を動かしたりもんだりする前に、まず相談してください。ここでさするだけでも避けたい場面があるため、判断に迷うときは触らずにご連絡いただくほうが安全です。
これらに当てはまらず、「歩いた日の夕方に張る」「立ち仕事のあとに重くなる」「運動を再開した週に出た」という出方が中心であれば、体の使い方と負担のかかり方が関係していることが多いと考えられます。ここから先は、その場合の過ごし方をまとめています。
なぜ「良かれと思った手当て」が遠回りになるのか|ふくらはぎは3つの仕事を兼ねている
ふくらはぎは、歩く力を生む筋肉であり、血を心臓へ送り返すポンプであり、神経の通り道でもあります。どれが背景にあるかで、向く手当てが逆になるためです。 「痛い=ほぐす」と一本道で決めてしまうと、半分の場面で裏目に出ます。
ふくらはぎの表側にあるのが腓腹筋、その奥でかかとを支え続けているのがヒラメ筋です。2つは歩くたびに縮んでゆるみ、脚にたまった血を心臓へ押し返しています。だから「第二の心臓」と呼ばれます。ここが張っているとき、原因が使いすぎなのか、めぐりの滞りなのか、上流からの神経の響きなのかで、してよいことが変わります。お尻や太ももの裏から線で響いてくる感じがあるときは、坐骨神経痛の考え方も合わせてご確認ください。
同じ「痛い」でも、触ってよい日と、触らない日がある
使いすぎで張っている日は、動かしてめぐりを保つ方向が向きます。片側だけが腫れて熱っぽい日は、触らずに相談する方向が向きます。つったあと・強く伸ばしたあとで残っている日は、動かしてよいところと、伸ばす強さに上限を置くところの両方が要ります。急いでいるときほど、私たちは「強くもむ」「熱い湯につかる」「いつもどおり動く」という、刺激を足す方向を選びがちです。 この3つは、腫れている日には遠回りになります。次の章で、30秒でできる分け方を置きます。
まず30秒|触ってよい・止まる・伸ばしすぎない、3タイプの見分け方
腫れと熱っぽさ・左右の太さの違い・歩いたときの変化の3点を確かめると、30秒で「触ってよい側」か「いったん止まる側」かが分かります。 難しい判断は要りません。いま座っているところで、両手で左右のふくらはぎを同時に包んでみてください。
| 確かめる目安 | ① 使いすぎ型 (動かしながら整えてよい) |
② 腫れ・熱っぽさ型 (触らず相談する) |
③ つったあと型 (伸ばす強さに上限) |
|---|---|---|---|
| 左右の太さ | ほぼ同じ。両脚とも張っていることが多い | 片側だけが明らかに太い | 変わらない。痛む側に硬さが残る |
| 手で包んだ感じ | 張っているが、左右の温度は同じ | 🔴 痛む側が熱っぽい・赤みがある | 一部分に、しこりのような硬さを触れる |
| 歩くと | 動き出すと少しらくになる | ズキズキが強まる・脚が重い | つま先で蹴り出すときに響く |
| 出た場面 | 立ち仕事・長い距離を歩いた日の夕方 | 長時間の移動・安静のあと。急に出た | 夜中につった翌日・急に走り出した直後 |
| 最初の一手 | かかとの上げ下ろしでポンプを働かせる | 🔴 触らない。まず医療機関へ相談 | 脚を高くして休み、伸ばすのは翌日以降 |
①と③は、自分で手を打てる側です。②だけは向きが逆で、触らないことが最初の一手になります。迷ったときは、「片側だけが太くて熱っぽいか」の1行を優先して見てください。ここが当てはまるなら、②の進め方を先に置きます。なお、冒頭の赤旗に当てはまる項目があるときは、タイプ分けより先に医療機関での評価が必要です。
タイプ①:使いすぎで両脚が張っている(動かしながら整えてよい型)
立ち仕事や長い距離を歩いた日の夕方に、ふくらはぎ全体がパンパンに張るタイプです。左右の太さと温度に差がなく、動き出すと少しらくになるのが特徴です。ここは、めぐりを保つ方向が向きます。座ったままのかかとの上げ下ろしや、脚を高くして休む過ごし方で、たまった重さを戻していきます。同じ日に2回目の張りが出るときは、片脚へ体重を預けるクセが背景にあることがあり、骨盤矯正の考え方も合わせてご確認ください。
タイプ②:片側だけが腫れて熱っぽい(触らずに相談する型)
片方のふくらはぎだけが急に太くなり、手で包むと熱っぽさや赤みを感じるタイプです。長時間の移動や安静が続いたあと、急に出ることがあります。厚生労働省は、長い時間足を動かさずにいると血のめぐりが悪くなって血のかたまりができ、それが肺に詰まると肺塞栓を誘発するおそれがあると案内しています。ここでもみほぐす・強くさするのは避けたい対応です。とくに息苦しさや胸の痛みが重なるときは、脚を動かす前に相談してください。この型は、この記事のセルフケアの対象外です。
タイプ③:つった・強く伸ばしたあとに残っている(伸ばす強さに上限を置く型)
夜中につった翌日や、久しぶりに走った直後から、ふくらはぎの一部分に硬さと痛みが残るタイプです。つま先で地面を蹴り出すときに響くのが特徴で、しこりのような硬さを触れることがあります。ここでやりがちなのが、反動をつけて限界まで伸ばすことです。痛みを超えて伸ばすと、硬さが戻るまでの時間が延びやすくなります。当日は脚を高くして休むにとどめ、伸ばすのは翌日以降、「気持ちいい」の手前までにします。走る習慣がある方はランナー膝のページも合わせてご覧ください。
【自分でできる】NGの代わりに置ける3つと、1日の使い方
もむ代わりに動かす、伸ばす代わりに高く上げる、我慢して歩く代わりに体重のかけ方を戻す——置き換えは、この3つで足ります。 道具も着替えも要りません。3つとも、痛むところを押さずにふくらはぎのポンプを働かせることを目的にしています。タイプ②(片側だけが腫れて熱っぽい)に当てはまる方は、この3つを行わず、先に相談してください。
1. 座ったまま、かかとの上げ下ろし(ポンプを働かせる)
- 椅子に深く座り直し、両足の裏を床にぴたりとつけます。ひざは90度くらいに置きます。
- かかとをゆっくり持ち上げ、つま先立ちの形で2秒止めます。ふくらはぎが縮む感覚を確かめます。
- かかとを下ろし、今度はつま先を持ち上げて2秒止めます。すねの前側が働く感覚を確かめます。
- この上げ下ろしを20回、ゆっくり行います。1時間に1回を目安に置きます。
要点は「速く数をこなさず、上で2秒止める」ことです。止める時間があるほど、ふくらはぎは縮んでからゆるむ動きをはっきり行えます。厚生労働省も、長い時間同じ姿勢でいるときの過ごし方として、かかとの上げ下ろしをすすめています。立ち仕事の方は、立ったままでも同じ動きができます。壁に手を添え、体をゆらさずに行ってください。
2. 脚を心臓より高くして休む+足首をゆっくりまわす
- 床か布団にあお向けになり、たたんだ座布団かクッションをふくらはぎの下へ入れます。
- かかとが心臓より高くなる位置に調整します。ひざは軽く曲がったままでかまいません。
- その姿勢のまま、足首を内回し10回・外回し10回、ゆっくりまわします。
- そのまま10分ほど休みます。息は鼻から4秒吸い、口から6秒かけて吐きます。
要点はひざの裏を強く押しつけないことです。クッションはふくらはぎの中ほどに当て、ひざの裏が浮くくらいにします。厚生労働省の案内にも、眠るときに足を上げることが挙げられています。夕方に脚が重くなる方は、入浴後とテレビを見る時間の2回に分けて置くと続けやすくなります。10分を1回より、5分を2回のほうが、日々の生活には収まりやすい形です。
3. 立ち方と体重のかけ方を戻す(片脚重心をやめる)
- 両足を腰幅に開き、足の指が正面を向くように置き直します。
- 体重を「かかと寄り7・つま先寄り3」の感覚で、足の裏全体に散らします。
- 左右に体重を移し、真ん中で止められる位置を探します。左右で10往復。
- そのまま立ち、30秒キープします。1日3回、気づいたときに行います。
要点は「どちらか片方に預けている時間を減らす」ことです。レジ待ちや電車の中で、いつも同じ側の脚に体重を預けている方は少なくありません。片側に預け続けると、そちら側のふくらはぎだけが働き続けます。荷物も左右で持ち替えてください。立っている時間が長い日ほど、この30秒の価値が上がります。股関節まわりの硬さが背景にある方は股関節のページもご確認ください。
4. 1日のどこに置くと続くか
3つを一度にまとめて行う必要はありません。 1は1時間に1回、2は入浴後と就寝前、3は気づいたときに30秒——この置き方が、いちばん続きます。痛みが出ている時期は、回数を増やすより間隔を空けないことを優先してください。翌朝、起きたときの張りが前日より軽ければ、この置き方が合っています。変化が見られない日が続くときは、強さを上げるのではなく、次の章の時間の目安に照らして、戻す量を見直します。
いつから戻してよい?当日・3日後・2週間の目安
戻す順番は「日常の歩き→早歩き→走る」で、いちばん最後に戻すのが走る量です。ここを先に戻すと、繰り返しやすくなります。 競技者を対象とした報告では、走る動作の最中に起きたふくらはぎの痛みは、それ以外の場面で起きたものより回復まで長くかかっていました。
オーストラリアの競技者184件を追った報告(2020年・Scand J Med Sci Sports)では、ふくらはぎの痛みのうち84.6%が深い層のヒラメ筋で起きていました。競技復帰までの日数は、ヒラメ筋で平均25.4日、表側の腓腹筋で平均19.1日。走る動作の最中に起きたものは、それ以外の場面で起きたものよりおよそ12日長くかかっていたと報告されています。さらに、再び同じ場所を痛めた例では、全速力に近い走りに戻るまで、練習に戻るまで、試合に戻るまでのいずれも、より長い時間を要していました。再受傷の91.4%がヒラメ筋でした。
日常生活での置き換え方
これは競技者の数字なので、日常生活へそのまま当てはめるものではありません。読み取れるのは、「深い層が背景のときほど、見た目より時間がかかる」という向きです。日常の目安としては、当日は脚を高くして休むところまで。3日後をめどに、いつもの距離の半分を、痛みが出ない速さで歩きます。ここで翌朝の張りが増えていなければ、1週間かけて距離を戻します。走る習慣がある方は、歩く量が元に戻って、さらに数日たってから走り出す順番にしてください。2週間たっても変化が見られないときは、ふくらはぎだけでなく上流の負担を確かめる段階です。膝痛・関節痛や腰痛が同時に出ている方は、そちらのページも合わせてご覧ください。
【詳しく知りたい方へ】強くもむほど遠回りになりやすい医学的メカニズム
強くもむ・急に温める・いつもどおり動く——この3つはいずれも「刺激を足す」対応で、めぐりが滞っている状態や、痛めた直後の組織では受け止めきれないことがあります。 背景を3つに分けて見ていきます。
1. ふくらはぎは2層で、深い層ほど時間がかかる
ふくらはぎの表側にあるのが腓腹筋、その奥でかかとを支え続けているのがヒラメ筋です。ヒラメ筋は立っているあいだずっと働き続ける性質があり、姿勢を支える役割を担っています。上で挙げた競技者の報告でも、ふくらはぎの痛みの84.6%がヒラメ筋で起きており、復帰までの日数も腓腹筋より長くなっていました。表面をもみほぐしても、深い層の働きすぎはそのまま残ります。強さを上げるほど深く届くわけではない、というのがここでの要点です。
2. 一度痛めたふくらはぎは、また痛めやすい
Green と Pizzari が10件の研究をまとめた総説(2017年・Br J Sports Med)では、5,397名の競技者と518件のふくらはぎ・下腿の痛みが対象になりました。将来ふくらはぎを痛めることに最も強く結びついていたのは、年齢が上がることと、過去に同じ場所を痛めた経験があることの2つでした。身長・体重・性別・利き足については、関連を示す根拠が乏しいと整理されています。つまり、いま痛みが引いたかどうかより、戻す順番を守ったかどうかが次の1年を左右します。痛みが消えた日を「終わった日」と考えないことが、繰り返しを減らす近道になります。
3. 土台の左右差が上流にある
ふくらはぎを働かせているのは、ふくらはぎだけではありません。骨盤の傾きや肩の左右差があると、体重の預け先が片側へ寄り、そちらのふくらはぎの仕事量だけが増えます。こころ整体院グループの創業者である安藝泰弘が筆頭著者として2025年にPLOS ONEへ発表した研究では、健康な成人における安静時の肩甲骨位置の非対称性と、僧帽筋上部の潜在性トリガーポイントとの関連が報告されました。体の左右差は、痛みのない場所にも静かに存在しているということです。AI姿勢分析では、骨盤の傾き・背骨のカーブ・重心の左右差を数値と画像で確かめ、どこから手をつけると続けやすいかを一緒に考えていきます。
GIFTの視点:揉まない・押さない、ふくらはぎへのアプローチ
こころ整体院グループのGIFTメソッドは「揉まない・押さない・整える」を基本に、体重の預け先が片側へ寄っている姿勢のクセを整えます。 GIFTメソッドは、Gliding(なでるように動かす)・Inner(深部へのアプローチ)・Form(姿勢・フォームを整える)・Trigger(こり固まったポイントへの働きかけ)の頭文字で、強く押しほぐすのではなく、動きの担当を戻していく整え方です。深い層の働きすぎは、表面へ強い刺激を足しても届きません。届かせる方向ではなく、働きすぎている時間そのものを減らすという考え方を取ります。
ふくらはぎの張りでは、痛む場所そのものより先に、骨盤の傾き、体重が乗っている側、足首の動く範囲を確かめます。こころ整体院グループは「大学と共同研究する整体院」として、東亜大学との共同研究の成果を国際学術誌 PLOS ONE(2025年)に発表しています。全国125院・年間延べ80万人来院規模のグループとして、断定はせず、AI姿勢分析で見えたズレをもとに一緒に順番を決めていきます。なお研究は状態を理解するためのもので、特定の結果をお約束するものではありません。
⚠️ やってはいけない!ふくらはぎが痛いときの7つの行動
いずれも「痛いのだから、ゆるめればよい」という善意から出てくる行動です。行動そのものが悪いのではなく、確かめる前にやること・順番が早すぎることが遠回りの正体です。代わりに置けることを、それぞれ1つずつ添えます。
NG①:腫れ・熱っぽさ・左右差を確かめないまま、痛むところをもみほぐす
いちばん多いのがこれです。片側だけが太くて熱っぽいときは、めぐりに関わるサインのことがあり、その状態で強くもむ・強くさするのは避けたい対応になります。厚生労働省も、長い時間足を動かさずにいると血のかたまりができ、それが肺に詰まると肺塞栓を誘発するおそれがあると案内しています。代わりに置くこと=両手で左右のふくらはぎを同時に包み、太さと温度を比べる30秒。差がなければ①の進め方へ、片側だけ太くて熱っぽければ触らずに相談してください。
NG②:痛みが残るうちに、いつもの距離を走り出す・歩く量を元に戻す
予定が決まっていると、痛みが半分になった時点で元の量に戻したくなります。競技者184件の報告では、走る動作の最中に起きたふくらはぎの痛みは、それ以外の場面で起きたものよりおよそ12日長くかかっていました。再び同じ場所を痛めた例では、全速力に近い走りに戻るまでの時間がさらに延びています。代わりに置くこと=3日後にいつもの距離の半分を、痛みが出ない速さで歩く。翌朝の張りが増えていなければ、1週間かけて距離を戻します。走るのは、歩く量が元に戻ってさらに数日たってからです。
NG③:痛みが出たその日に、熱い湯へ長くつかって汗をかくまで温める
「温めればゆるむ」と考えて、当日に長風呂をする方がいます。痛めた直後で腫れが出はじめている時間帯は、温めるほど張りが強まりやすくなります。手で包んで熱っぽさを感じる日は、温めない側を選ぶのが目安です。使いすぎで両脚が張っているだけの日は、ぬるめの湯に10分ほどで問題ありません。代わりに置くこと=当日は脚を心臓より高くして10分休む。入浴は翌日以降、ぬるめ・短めから戻します。
NG④:反動をつけて、痛みを超えるところまで伸ばす
つったあとに硬さが残ると、勢いをつけて一気に伸ばしたくなります。痛みを超えて伸ばすと、硬さが戻るまでの時間が延びやすくなります。伸ばすこと自体が悪いのではなく、当日に、痛みを超えて、反動をつけての3つが重なると遠回りになります。代わりに置くこと=当日は伸ばさず、足首を内回し10回・外回し10回。伸ばすのは翌日以降、反動をつけずに「気持ちいい」の手前までにとどめます。
NG⑤:フォームローラーやボールに体重をあずけて、痛い場所を転がす
道具を使うと、手でもむより強い力が一点に集まります。痛む場所にしこりのような硬さを触れるとき、そこへ体重を預けて転がすと、その場は紛れても、あとから張りが残りやすくなります。腫れや熱っぽさがある日は、道具を使う対応そのものを見送ってください。代わりに置くこと=座ったままのかかとの上げ下ろしを20回。縮んでゆるむ動きを自分で起こすほうが、めぐりには届きます。道具を使うのは、痛みが引いて、歩く量が元に戻ってからにします。
NG⑥:痛みが残るうちから、かかと上げの回数を増やして鍛え直そうとする
「弱いから痛くなった」と考えて、痛みが残るうちから回数を増やす方がいます。ケアと強化は別の工程で、順番を入れ替えると繰り返しやすくなります。総説では、将来ふくらはぎを痛めることに最も強く結びついていたのは、年齢が上がることと、過去に同じ場所を痛めた経験があることでした。焦って回数を積むことは、この2つ目を増やす方向に働きます。代わりに置くこと=痛みが出ない範囲で20回を1時間に1回。回数を増やすのは、歩く量が元に戻ってからです。
NG⑦:期限を決めずに「そのうち引く」と様子を見続ける
強い痛みでないほど、判断の期限を決めずに時間だけが過ぎます。2週間たっても変化が見られない、痛む範囲が広がっている、日に日に強くなっている——このいずれかに当てはまるときは、待つ段階ではありません。代わりに置くこと=「2週間」と日付を決めて手帳に書く。その日に、朝の張り・歩ける距離・痛む範囲の3つを前と比べます。変化が見られなければ、ふくらはぎだけでなく上流の負担を確かめる段階へ進んでください。冒頭の赤旗に当てはまるときは、期限を待たずにご相談ください。
まとめ
ふくらはぎが痛いとき、遠回りになりやすいのは、確かめる前に手を出すことです。両手で左右を同時に包み、太さと温度を比べる30秒を先に置いてください。片側だけが太くて熱っぽいときは触らず、医療機関にご相談ください。差がなければ、もむ代わりに座ったままのかかとの上げ下ろし、伸ばす代わりに脚を心臓より高くして休むこと、我慢して歩く代わりに体重のかけ方を戻すこと——この3つに置き換えます。やってはいけない7つは、順番が早すぎることで生まれます。当日は休む、3日後に半分の距離を歩く、歩く量が戻ってから走る。この順番を守ることが、繰り返しを減らすいちばんの近道です。2週間で変化が見られない方は、こころ整体院グループのお近くの院で、AI姿勢分析を起点に体重の預け先を確かめてみてください。
よくある質問(FAQ)
触る前に30秒だけ確かめてください。両手で左右のふくらはぎを同時に包み、太さと温度を比べます。差がなければ、強くもまずに座ったままのかかとの上げ下ろしを20回置くほうが向きます。片側だけが明らかに太く、熱っぽさや赤みがあるときは、もむ・さするをいずれも行わず、まず医療機関にご相談ください。
片側だけが急に太くなり、熱っぽさや赤みがあるときは、様子を見る場面ではありません。厚生労働省は、長い時間足を動かさずにいると血のめぐりが悪くなって血のかたまりができ、それが肺に詰まると肺塞栓を誘発するおそれがあると案内しています。息苦しさや胸の痛みが重なるときは、脚を動かす前にご相談ください。
手で包んで熱っぽさを感じる日は、温めない側を選びます。痛めた直後で腫れが出はじめている時間帯は、温めるほど張りが強まりやすくなります。立ち仕事や長く歩いた日に両脚が同じように張っているだけの日は、ぬるめの湯に10分ほどで問題ありません。当日の長風呂は、どちらの場合も見送ってください。
歩き出すと少しらくになり、左右の太さと温度に差がなければ、いつもどおり過ごしてかまいません。歩くとズキズキが強まる、脚が重い、片側だけ太いという場合は、その日は歩く量を減らして相談を優先します。どちらの場合も、1時間に1回はかかとの上げ下ろしを20回はさんでください。
走るのは、いちばん最後に戻します。当日は脚を高くして休み、3日後をめどにいつもの距離の半分を、痛みが出ない速さで歩きます。翌朝の張りが増えていなければ、1週間かけて距離を戻します。歩く量が元に戻り、さらに数日たってから走り始めてください。競技者の報告でも、走る動作の最中に起きたものは回復までおよそ12日長くかかっていました。
道具を使うと、手より強い力が一点に集まります。しこりのような硬さがあるところへ体重を預けて転がすと、その場は紛れても、あとから張りが残りやすくなります。腫れや熱っぽさがある日は、道具を使うこと自体を見送ってください。痛みが引いて、歩く量が元に戻ってから再開するのが安全な順番です。
痛みが出た当日は伸ばさず、足首を内回し10回・外回し10回にとどめます。翌日以降、反動をつけずに「気持ちいい」の手前まで伸ばします。痛みを超えて反動をつけて伸ばすと、硬さが戻るまでの時間が延びやすくなります。毎日行うより、痛みが出ない範囲を毎日守るほうが、結果として早く落ち着きます。
ケアと強化は別の工程で、順番を入れ替えると繰り返しやすくなります。10件の研究をまとめた総説では、将来ふくらはぎを痛めることに最も強く結びついていたのは、年齢が上がることと、過去に同じ場所を痛めた経験があることでした。痛みが残るうちに回数を積むことは、この2つ目を増やす方向に働きます。回数を増やすのは、歩く量が元に戻ってからにしてください。
「2週間」と日付を決めて手帳に書いてください。その日に、朝の張り・歩ける距離・痛む範囲の3つを前と比べます。変化が見られない、痛む範囲が広がっている、日に日に強くなっているのいずれかに当てはまるときは、待つ段階ではありません。冒頭の赤旗に当てはまるときは、期限を待たずにご相談ください。
こころ整体院グループでは、AI姿勢分析で骨盤の傾き・背骨のカーブ・重心の左右差を確認し、痛むふくらはぎだけでなく、体重がどちら側に乗り続けているかを含めて整えるGIFTメソッドでサポートします。深い層の働きすぎは、表面へ強い刺激を足しても届かないため、強く押しほぐす対応はとりません。詳しくは全国の店舗からお近くの院にお問い合わせください。
参考文献
- 厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」. mhlw.go.jp
- 公益社団法人 日本整形外科学会「腓骨神経麻痺」症状・病気をしらべる. joa.or.jp
- 公益社団法人 日本整形外科学会「アキレス腱断裂」症状・病気をしらべる. joa.or.jp
- Green B, Pizzari T. "Calf muscle strain injuries in sport: a systematic review of risk factors for injury." Br J Sports Med, 2017; 51(16): 1189-1194. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Green B, Lin M, Schache AG, McClelland JA, Semciw AI, Rotstein A, Cook J, Pizzari T. "Calf muscle strain injuries in elite Australian Football players: A descriptive epidemiological evaluation." Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2020; 30(1): 174-184. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 安藝泰弘, 沖野一平, 津山元気, 谷津義康, 西条寿夫, 髙本考一(2025)「健康な成人における安静時肩甲骨位置の非対称性と僧帽筋上部の潜在性トリガーポイントとの関連」PLOS ONE 20(10): e0335268. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0335268
執筆・監修者
安藝 泰弘(あき やすひろ)
柔道整復師/giversホールディングス 代表取締役・東亜大学大学院 博士課程
こころ整体院グループ 創業者(本記事の執筆・総監修)
ORCID: 0009-0002-5707-6121
1996年柔道整復師資格取得。臨床28年・延べ施術人数15万人超。2025年に国際学術誌 PLOS ONE へ姿勢分析に関する研究論文を筆頭著者として発表(健康な成人における安静時肩甲骨位置の非対称性と僧帽筋上部の潜在性トリガーポイントとの関連・PLOS ONE 20(10): e0335268 / https://doi.org/10.1371/journal.pone.0335268)。「揉まずに整える」GIFTメソッドを開発し、全国125院・年間延べ80万人来院規模の整体院グループへと育てた。
村石 喜伸(むらいし よしのぶ)
理学療法士/Fascial Manipulation®・Mulligan Concept 国際資格/givers PT 代表
本記事の専門監修を担当。ふくらはぎの張りを触る前に確かめる手順、痛みの出方で触ってよい日と止まる日が分かれる進め方、歩く量と走る量を戻す順番を運動器の視点から監修。







