朝起きると顎が疲れていませんか?無意識の「食いしばり」が治らない首こりの原因かもしれない理由

朝起きると顎が疲れていませんか?無意識の「食いしばり」が治らない首こりの原因かもしれない理由

朝起きると顎が疲れていませんか?無意識の「食いしばり」が治らない首こりの原因かもしれない理由

公開日: 2026-02-10

監修日: 2026-02-10

監修・執筆者:安藝 泰弘(柔道整復師)
giversホールディングス こころ整体院グループ 創業者

※臨床経験20年以上。全国120院以上の技術指導を行う。

※本稿は一般的な情報提供です。強い症状・急な変化がある場合は、必ず医療機関で評価を受けてください。

【この記事の要約】

  • 原因:睡眠中の無意識の「食いしばり」が、筋膜のつながりを通じて首や肩を緊張させています。
  • メカニズム:顎の筋肉(咬筋など)が硬くなると、首の筋肉との間の「滑り(滑走性)」が悪くなり、痛みを引き起こします。
  • 対策:歯科でのマウスピース作成や、就寝前のマッサージ、リラックス呼吸法が有効です。

▼ あなたはどっち? 判断の目安

  • 「歯が削れている・顎関節が痛い」場合:目安として 歯科医院 での治療(マウスピース等)が優先です。
  • 「首や肩のこりが辛い・頭が重い」場合:可能性がありますので 整体院 での筋肉・筋膜ケアがおすすめです。

毎日の家事やお仕事、本当にお疲れ様です。「しっかり寝たはずなのに、朝起きると首や肩がガチガチ」「なんとなく顎(あご)がだるい気がする」。そんな朝を迎えていませんか?
実はその不調、枕のせいだけではないかもしれません。
眠っている間に無意識に行っている「食いしばり(歯ぎしり)」が、首こりの隠れた原因になっているケースが非常に多いのです。
この記事では、なぜ「顎の力」が「首の痛み」につながるのか、そしてご自宅でできる優しいケア方法について、専門家の視点から分かりやすくお話しします。少しでもあなたの朝が楽になりますように。

こんなお悩みありませんか?

もし、以下のリストにひとつでも当てはまるなら、あなたの首こりは「顎(あご)」から来ているかもしれません。

  • [ ] 朝起きた瞬間から、首や肩に重りがあるように感じる
  • [ ] 集中してパソコン作業をしていると、気づけば奥歯を噛み締めている
  • [ ] 最近、頭のこめかみ辺りが締め付けられるように痛い
  • [ ] 鏡で舌を見ると、側面にデコボコとした歯の跡がついている
  • [ ] マッサージに行っても、その場限りですぐに凝りが戻ってしまう

これらはすべて、体が発している「緊張のサイン」です。決してあなたの我慢が足りないわけではありませんよ。

顎の痛みと首こりを感じている女性のイラスト

なぜ「食いしばり」が「首こり」になるの?

結論から言うと、顎の緊張が筋膜を通じて首や肩を引っ張り、筋肉同士の「滑り」を悪くしてしまうからです。

「顎と首なんて、別の場所じゃないの?」と思われるかもしれません。
ですが、私たちの体は「筋膜(きんまく)」という薄い膜のボディスーツで全身がつながっています。

1. 顎と首は「お隣さん」以上の関係

顎を動かす「咬筋(こうきん)」という筋肉は、首を支える「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつつきん)」などの筋肉と隣り合わせで、筋膜で密接につながっています。
顎がガチガチに固まると、お隣の首の筋肉も道連れになって固まってしまうのです。[3]

2. 体の深いつながり「ディープ・フロント・ライン」

専門的な話になりますが、体には「ディープ・フロント・ライン(DFL)」という、体の深層を通る筋膜のつながりがあります。 これは、「顎の筋肉」から、呼吸に関わる「横隔膜(おうかくまく)」、そして骨盤の底までつながる長いラインです。[7]
食いしばりが起きると、このライン全体が緊張します。すると呼吸が浅くなり、それを補うために首や肩の筋肉が過剰に頑張ってしまい、結果として慢性的な首こりにつながります。
「顎を緩めると呼吸が深くなる」のは、このためなんですよ。

専門家が解説!「組織の滑走不全(かっそうふぜん)」とは?

ここでは、少しだけ詳しく「なぜ凝るのか」を、イメージしやすいように説明しますね。
私たちの筋肉や皮膚は、ミルフィーユのように何層にも重なっています。健康な状態では、この層と層の間にある潤滑液(ヒアルロン酸など)がサラサラしていて、スムーズに動きます。[6]
しかし、食いしばりによって長時間強い圧力がかかり続けると、この潤滑液が「糊(のり)のようにベタベタ」になってしまいます。 これを専門用語で「滑走不全(Gliding Dysfunction)」や「デンシフィケーション(高粘性化)」と呼びます。
シャツの袖が汗で肌に張り付いて動きにくくなる状態をイメージしてください。
筋肉の中でこれと同じことが起こり、「首を動かそうとしても、中で引っかかって動かない・痛い」という状態になってしまうのです。

GIFTの視点:食いしばり由来の首こり

“GIFT”は、痛みや不調の本当の原因を見極めて、体全体から整えていくgivers(こころ整体院グループ)独自の施術アプローチです。GIFTでは、食いしばりによる首こりを単なる「筋肉の疲れ」ではなく、以下の4つの要素が絡み合った複合的な問題として捉えます。

  • G (Gliding - 滑走):顎と首の筋肉の間で「滑り」が悪くなり、癒着している状態を整えます。
  • I (Inner - インナー):食いしばりによって呼吸が浅くなり、お腹の奥(インナーマッスル)が使えていない状態をケアします。
  • F (Form - 骨格・姿勢):食いしばりによって顎が前に出やすくなり、ストレートネック(頭部前方位)が悪化していないかを見ます。
  • T (Trigger Point - 筋肉のしこり):咬筋や側頭筋にできた「痛みの引き金(トリガーポイント)」が、首や頭に関連痛を飛ばしていないか確認します。

ただ揉むだけでなく、「滑りを良くし、呼吸を整え、姿勢を戻す」ことで、繰り返さない体づくりを目指します。

▼【詳しく知りたい方へ】医学的なメカニズム(クリックで開く)

ここでは、解剖学や生理学に基づいた詳細なメカニズムを解説します。

1. トリガーポイントと関連痛

咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)に形成されたトリガーポイント(過敏化した侵害受容器)からの関連痛は、頸部や肩甲帯に放散することが知られています。特に咬筋の深部は耳の奥や顎関節へ、側頭筋は側頭部や歯へ痛みを送ります。

2. 運動連鎖と姿勢制御

睡眠時ブラキシズム(SB)において、下顎の律動的な筋活動(RMMA)が発生する際、頸部の筋肉(特に胸鎖乳突筋や僧帽筋上部線維)も同期して活動することが筋電図研究で示されています[3]。これにより、睡眠中であっても頸部筋群が休まらず、虚血状態やATP枯渇によるエネルギー危機が生じ、発痛物質(ブラジキニンなど)が産生されます。

3. 筋膜の連結(Myofascial Connectivity)

アナトミートレイン理論における「ディープ・フロント・ライン(DFL)」は、咀嚼筋群と舌骨下筋群、斜角筋、そして横隔膜・腸腰筋・骨盤底筋群を連結しています[7]
顎関節の緊張はDFLを介して胸郭や横隔膜の動きを制限し、結果として呼吸補助筋である斜角筋や胸鎖乳突筋の過剰動員(代償動作)を招き、首こりを慢性化させます。

【実践編】お家でできる「顎と首」のケア方法

「もしかして、私も食いしばっているかも」と思ったら、まずは今日からできるケアを試してみてください。
大切なのは「治そう」と意気込むことではなく、「体を緩めてあげる」ことです。

Step 1:日中の「歯を離す」習慣(TCH是正)

日中、ふとした時に上下の歯が触れ合っていませんか?
実は、リラックスしている時、上下の歯は2~3mm離れているのが正常です。
触れているだけで、顎の筋肉はずっと緊張し続けています。

やり方:
「あ、噛んでるな」と気づいたら、深呼吸をして、フッと肩の力を抜きます。
「唇は閉じて、歯は離す」と心の中で唱えてみましょう。
目につく場所に「歯を離す」と書いた付箋を貼るのも効果的です。

Step 2:咬筋(こうきん)のマッサージ

お風呂上がりや寝る前に行うのがおすすめです。
奥歯をグッと噛み締めた時に、頬のエラ部分で盛り上がる筋肉(咬筋)を探します。
その部分に、人差し指・中指・薬指の腹を当てます。
「の」の字を書くように、優しく30秒ほど円を描いてほぐします。
ポイント:強く押す必要はありません。気持ちいい強さで行いましょう。

咬筋マッサージの方法を示す図

Step 3:リラックス呼吸法

寝る前に行うことで、神経の興奮を鎮め、食いしばりを予防します。
仰向けになり、両膝を立てます(お腹が緩みやすくなります)。
鼻からゆっくり4秒かけて息を吸います。お腹が膨らむのを意識しましょう。
口から細く長く、8秒かけて息を吐ききります。
これを5~10回繰り返します。

監修者のひと言アドバイス

「頑張り屋さんの体こそ、ケアが必要です」

こころ整体院グループ創業者の安藝です。
食いしばりがある患者様には、責任感が強く、無意識に頑張りすぎてしまう方がとても多いです。食いしばりは、そんなあなたの心が折れないように、体が代わりに歯を食いしばって耐えてくれている証拠かもしれません。
まずは「今日も一日頑張ったね」と、ご自身の顎や首を優しくなでてあげてください。筋肉は、優しく触れるだけでも緩む性質を持っているんですよ。まずはそこから始めてみましょう。

やってはいけない!3つのNG行動

  • ガムやスルメを長時間噛み続ける:顎の筋肉にとって、長時間の咀嚼は筋トレと同じです。筋肉が疲労し、さらに硬くなってしまいます。痛みがある時期は、硬い食べ物は控えましょう。
  • 枕が高すぎる(または低すぎる):枕が高すぎると、首が常に前に曲がった状態になり、気道が狭くなります。すると体は呼吸をしやすくするために無意識に顎に力を入れてしまい、食いしばりを誘発することがあります。
  • 痛いのに無理やり首をボキボキ鳴らす:関節を無理に鳴らすと、一時的にスッキリした気がしても、防御反応で筋肉がかえって硬くなることがあります。また、神経を傷つけるリスクもあるため避けましょう。

【教訓】
痛みや違和感は体からの「SOS」です。自己判断で無理に動かしたり、原因(食いしばりなど)を放置して痛みだけ誤魔化そうとすると、かえって回復を遅らせてしまいます。

リスク開示とQ&A(よくある質問)

最後に、皆様からよくいただく質問にお答えします。

まとめ:一人で悩まず、まずは相談を

朝、スッキリと目覚められる。
それだけで、1日のスタートは劇的に変わります。
首こりの原因が「食いしばり」にあるかもしれないと気づけたことは、改善への大きな一歩です。

まずは、日中の「歯を離す」意識から始めてみてください。
それでも辛いときは、私たちプロを頼ってください。「私の首こりも、顎から来ているのかな?」と相談していただくだけでも、原因が見えて安心できるはずです。
あなたの体と心、両方が軽くなるお手伝いができれば嬉しいです。


参考文献

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、医師の診断・治療に代わるものではありません。医学的アドバイスが必要な場合は、専門医にご相談ください。