スマホ肘とは?内側・外側の痛みの原因とセルフチェック・対処法

スマホ肘とは?内側・外側の痛みの原因とセルフチェック・対処法

  • 監修日: 2026-06-03
  • 医学監修: 羽藤 泰三(整形外科医/医療法人奥山会)
  • 監修: 村石 喜伸(理学療法士/givers PT 代表)
  • 総監修: 安藝 泰弘(柔道整復師/giversホールディングス こころ整体院グループ 創業者・PLOS ONE 掲載論文著者)
※本稿は一般的な情報提供です。強い症状・急な変化がある場合は、必ず医療機関で評価を受けてください。
この記事のポイント

スマホ肘とは、スマホやPCの使いすぎで前腕の筋肉が疲れ、肘の外側または内側に痛みが出る状態の通称です。 正式には肘の外側が痛む「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」、内側が痛む「ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)」と重なります。携帯のネット利用時間は2020〜2024年で平日約1.3倍に増えており(総務省調査)、肘への小さな負担の積み重ねが背景にあります。小指・薬指のしびれや握力低下が続く場合は、別の「肘部管症候群」のサインのことがあり、整形外科での評価が目安です。

こちらは全国125院・年間約80万人のクライアント様に向き合ってきたこころ整体院グループによる、肘の痛みの解説記事です。AI姿勢分析GIFTメソッドで、肘だけでなく前腕や姿勢のクセを見える化し、根本原因にアプローチします。

⚠️ すぐに医療機関へ(受診の目安)

次のようなサインがある場合は、前腕の使いすぎだけが原因ではなく、神経や骨の問題が隠れていることがあります。自己判断は避け、まずは整形外科で評価を受けてください。

この症状は受診の目安
  • 小指・薬指のしびれが続く、または握力の低下を感じる(肘部管症候群のサインのことがあります)
  • 指の細かい動作(ボタンかけ・小銭をつまむ)がしにくくなってきた
  • 安静にしていても強い痛みが続き、夜間や早朝に痛み・しびれが強まる
  • 転倒・打撲のあとから急に肘が腫れて動かしにくくなった
  • 発熱を伴う、肘が赤く熱を持って腫れている

これらは前腕の使いすぎによる不調ではなく、尺骨神経の圧迫(肘部管症候群)や骨・関節の問題、感染などのサインのことがあります。特に小指・薬指のしびれと握力低下が続く場合は、早めの整形外科受診が目安です。

なぜスマホ肘が起こるのか

スマホ肘は、スマホやPCを操作するときの「軽い力」が、長時間・毎日くり返されることで前腕の筋肉が疲れ、その筋肉が肘につく部分(上顆)に負担が積み重なって起こると考えられています。 スポーツのように一度に大きな力がかかるのではなく、小さな負担の反復が特徴です。

スマホを片手で持って親指で操作する、画面を見ようと手首を反らし続ける——こうした姿勢では、手首や指を動かす前腕の筋肉が休む間もなく働き続けます。携帯電話によるインターネット利用時間は、総務省の調査で平日1日あたり2020〜2024年に約1.3倍(およそ92分から117分)へと増えており、肘への負担がかかる時間も長くなっていると考えられます。

前腕の筋肉が肘を引っ張る

なお、肘単体ではなく、巻き肩・猫背で腕全体が前に出る姿勢が、前腕の使い方の効率を下げ、肘の負担を高めることもあります。首・肩・腕は一続きでつながっているため、肘の痛みでも肩こり巻き肩を併せて見直す視点が役立ちます。

あなたの肘の痛みはどのタイプ?4パターン別

スマホ肘と呼ばれる肘の痛みは、痛む場所と原因で大きく4タイプに分けられます。 タイプによって負担がかかっている筋肉や、注意したいサインが変わります。まずは痛む場所を確認してみてください。

肘の痛み 4タイプ

タイプA:テニス肘タイプ(肘の外側が痛い)

肘の外側が痛むタイプで、正式には上腕骨外側上顆炎と呼ばれます。手首を反らす筋肉(手関節伸筋群)の使いすぎが背景にあり、タオルを絞る・ペットボトルのふたを開ける・物を持ち上げる動作で外側に痛みが出やすいのが特徴です。スマホを支える手の使い方でも起こります。

タイプB:ゴルフ肘タイプ(肘の内側が痛い)

肘の内側が痛むタイプで、上腕骨内側上顆炎と呼ばれます。手首を曲げる筋肉(手関節屈筋群)の使いすぎが背景にあり、手のひらを下にして物を持つ・手首を内側にひねる動作で内側に痛みが出やすくなります。

タイプC:肘部管症候群タイプ(小指・薬指のしびれ)⚠️

肘の内側を通る尺骨神経が圧迫・牽引されて起こるタイプで、痛みよりも小指・薬指のしびれが中心です。進行すると握力の低下や指の細かい動作のしにくさを伴うことがあります。これは前腕の使いすぎとは性質が異なり、受診の目安にあたります。気になる方は冒頭の「すぐに医療機関へ」をご確認ください。

タイプD:混合・前腕疲労タイプ

外側・内側の境目があいまいで、前腕全体のだるさ・こわばりとして感じるタイプです。長時間のスマホ・PC作業のあとに前腕が張り、肘の曲げ伸ばしで違和感が出ます。姿勢のクセを含めて見直すと負担を整えやすいタイプです。

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監修者より(医学監修・羽藤 泰三/監修・村石 喜伸/総監修・安藝 泰弘)

「スマホを使うと肘が痛い」というご相談は、年代を問わず増えています。整形外科医の立場(羽藤)からまずお伝えしたいのは、痛む場所が外側か内側かに加えて、小指・薬指のしびれや握力の低下がないかを確認することです。しびれが続く場合は、尺骨神経の問題(肘部管症候群)を見分ける必要があり、整形外科での評価が大切です。理学療法の視点(村石)では、肘だけを見るのではなく、前腕の使い方や巻き肩・猫背といった姿勢のクセまで含めて負担を減らす発想が役立ちます。総監修の安藝より——臨床28年・年間80万人のクライアント様と向き合い、PLOS ONE誌に姿勢分析の論文を発表してきた経験からも、肘の痛みを「腕全体・姿勢のつながり」でとらえることが、戻りにくい状態への近道だと考えています。

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自宅でできるスマホ肘セルフチェック

痛む場所と、どの動きで痛むかを確認すると、肘の外側(テニス肘)・内側(ゴルフ肘)・神経(肘部管症候群)のどれに近いかの見当がつきます。 整形外科では次のような疼痛誘発テストが用いられます(日本整形外科学会・奈良県医師会の解説より)。あくまで目安の確認で、ご自身で病名を判断するものではありません。

肘の痛み セルフチェック
  • 外側の確認(中指伸展テスト風):肘を伸ばし、誰かに中指を軽く押さえてもらいながら中指を反らすと、肘の外側に痛みが出る → テニス肘タイプの傾向。
  • 外側の確認(タオルしぼり):タオルを絞る動作で肘の外側が痛む → テニス肘タイプの傾向。
  • 内側の確認:手のひらを下にして物を持つ・手首を手のひら側に曲げると肘の内側が痛む → ゴルフ肘タイプの傾向。
  • 神経の確認:小指・薬指にしびれがある、肘を曲げているとしびれが強まる → 肘部管症候群タイプの傾向(受診の目安)。

確認の結果、しびれや握力低下がある場合は、セルフケアの前に整形外科での評価を優先してください。

スマホ肘の対処法・セルフケアの目安

スマホ肘の基本は、まず前腕を休ませること(安静)と、こわばった前腕の筋肉をやさしく伸ばすことです。 日本整形外科学会の解説でも、手をよく使う作業を控えて手首・指のストレッチをこまめに行うことが基本とされ、経過は数週間〜数ヶ月が一つの目安とされています。

前腕をやさしく伸ばすストレッチ
  1. 前腕を休ませる … 痛みが出ている間は、スマホの片手持ち時間を区切り、肘に負担のかかる動作(重い物を片手で持つ等)を控えます。
  2. 前腕をやさしく伸ばす … 腕を前に伸ばし、反対の手で手の甲を手前に引いて前腕の外側を、手のひらを手前に引いて内側を、それぞれ気持ちよい範囲で20〜30秒伸ばします。痛みが強いときは無理をしません。
  3. 使い方を見直す … スマホは両手で持つ・スタンドを使う、PCは肘が90度に近づく高さに整えるなど、手首を反らし続けない工夫を取り入れます。
  4. サポーターを補助に … 肘用のサポーター・バンドは、前腕の負担を一時的にやわらげる補助として使われることがあります。

なお、痛みが2週間以上続く、だんだん強くなる、しびれや握力低下を伴う場合は、セルフケアを続ける前に整形外科で評価を受けることが目安です。

【詳しく知りたい方へ】スマホ肘の医学的メカニズム

スマホ肘の多くは、骨そのものの変形ではなく、前腕の筋肉が肘につく「腱」の付着部に、微小な負担がくり返し加わって起こる状態と考えられています。 ポイントを整理します。

1. 前腕の筋肉と「上顆」への負担

手首や指を動かす前腕の筋肉は、肘の外側の出っぱり(外側上顆)と内側の出っぱり(内側上顆)に付着しています。手首を反らす動作が多いと外側上顆へ、曲げる動作が多いと内側上顆へ負担が集中し、付着部に炎症や微小な傷みが生じやすくなります。

2. 「スポーツより日常」で起こりやすい背景

テニス肘という名前ですが、一般人口での有病率は1%未満とされる一方、好発年齢は40〜60歳代で、特に40代・50代で約65%を占めると報告されています(日本肘関節学会誌・加藤ほか)。手作業や力仕事が多い方に多くみられ、スマホ・PCの長時間使用は、まさにこの「日常的な反復負担」にあたります。

3. 尺骨神経と肘部管症候群(鑑別のポイント)

肘の内側には、小指・薬指へつながる尺骨神経が「肘部管」という狭いトンネルを通っています。肘を深く曲げた姿勢が続くと神経が圧迫・牽引され、小指・薬指のしびれとして現れます。進行すると握力低下や手の細かい動作の障害を伴うため、これは前腕の使いすぎ(テニス肘・ゴルフ肘)とは分けて考え、整形外科の評価が目安となります(済生会ほか)。

GIFTの視点:揉まない・押さないスマホ肘へのアプローチ

こころ整体院グループのGIFTメソッドは、「揉まない・押さない・整える」が基本コンセプトです。痛む肘を強く押しほぐすのではなく、前腕に負担をためにくい腕・肩・姿勢の土台づくりをサポートします。なお、マッサージは即効性に優れる一方、姿勢の根本要因(巻き肩や肩甲骨のバランス)へのアプローチが難しい場合があります。

AI姿勢分析
  1. AI姿勢分析で原因を見える化AI姿勢分析で、巻き肩や頭の前方位置、左右差を数値とビジュアルで確認します。
  2. 腕につながる姿勢を整える … 肘や前腕だけでなく、肩甲骨・背骨の動きも含めて整え、前腕にかかる負担を減らします。
  3. セルフケアで定着 … 院でのケアと、ご自宅でできる前腕ストレッチ・スマホの使い方の見直しを組み合わせ、戻りにくい状態を目指します。

⚠️ やってはいけない!スマホ肘 3つのNG行動

NG①:痛みを我慢してスマホ・作業を続ける

痛みは前腕の付着部に負担が集中しているサインです。痛みを我慢して同じ使い方を続けると、こわばりが長引きやすくなります。痛む間は使用時間を区切り、休ませる時間を確保します。

NG②:痛む肘を強く押す・グリグリ揉む

「ほぐそう」として痛む付着部を強く押すと、かえって刺激になり負担が増えることがあります。セルフケアは、付着部そのものではなく前腕の筋肉をやさしく伸ばすことを基本にします。

NG③:サポーターやテーピングだけで無理を続ける

サポーターは負担を一時的にやわらげる補助で、原因となる使い方が変わらなければ負担は残ります。装着して安心して使いすぎると長引く一因になるため、使い方の見直しとあわせて取り入れます。

やりがちな3つのNG行動

まとめ

スマホ肘は、スマホやPCの使いすぎで前腕が疲れ、肘の外側(テニス肘)または内側(ゴルフ肘)に痛みが出る状態です。大切なのは、痛む場所で自分のタイプを知り、まず前腕を休ませてやさしく伸ばすこと。そして、小指・薬指のしびれや握力の低下が続くときは肘部管症候群のサインのことがあり、整形外科での評価が目安だと知っておくことです。痛みが2週間以上続く・だんだん強くなる場合も、早めの受診を検討してください。あわせて、巻き肩・猫背など腕につながる姿勢のクセを見直すことが、戻りにくい状態への近道です。お近くのこころ整体院グループの店舗で、AI姿勢分析を起点に肘・前腕・姿勢の状態を確認してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q1: スマホ肘とは何ですか?

スマホやPCの使いすぎで前腕の筋肉が疲れ、肘の外側または内側に痛みが出る状態の通称です。正式にはテニス肘(外側)・ゴルフ肘(内側)と重なります。

Q2: スマホ肘とテニス肘・ゴルフ肘の違いは何ですか?

痛む場所が違います。肘の外側が痛むとテニス肘(上腕骨外側上顆炎)、内側が痛むとゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)です。スマホ肘はどちらも起こり得る、日常の反復負担による呼び名です。

Q3: 小指と薬指がしびれます。スマホ肘ですか?

小指・薬指のしびれは、前腕の使いすぎより尺骨神経の圧迫(肘部管症候群)のサインのことがあります。しびれや握力低下が続く場合は、早めに整形外科で評価を受けることが目安です。

Q4: スマホ肘はどれくらいで楽になりますか?

経過には個人差があり、日本整形外科学会の解説では数週間〜数ヶ月が一つの目安とされています。使い方を見直して前腕を休ませることが基本です。

Q5: スマホ肘のセルフケアは何をすればよいですか?

まず前腕を休ませ、手首を反らす・曲げる方向に前腕の筋肉をやさしく20〜30秒伸ばします。痛みが強いときは無理をせず、使い方の見直しを優先します。

Q6: 痛む肘を揉んでもよいですか?

痛む付着部を強く押す・揉むのは負担になることがあります。セルフケアは付着部そのものより、前腕の筋肉をやさしく伸ばすことを基本にします。

Q7: サポーターは使ったほうがよいですか?

肘用のサポーター・バンドは前腕の負担を一時的にやわらげる補助として使われます。装着して使いすぎると長引く一因になるため、使い方の見直しとあわせて取り入れます。

Q8: スマホ肘になりやすい人の特徴はありますか?

スマホ・PCの長時間使用に加え、手作業や力仕事の多い方にみられます。好発年齢は40〜60歳代とされ、巻き肩・猫背の姿勢のクセも負担を高める一因です。

Q9: 何科を受診すればよいですか?

肘や前腕、手指のしびれは整形外科が目安です。特に小指・薬指のしびれや握力低下がある場合は、手の外科のある整形外科での評価が安心です。

Q10: 整体ではスマホ肘にどうアプローチしますか?

こころ整体院グループでは、AI姿勢分析で巻き肩や頭の前方位置を確認し、肘だけでなく前腕・肩甲骨・姿勢全体を整えるGIFTメソッドでサポートします。詳しくは全国の店舗からお近くの院にお問い合わせください。

参考文献

  1. 日本整形外科学会「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」一般向け解説.
  2. 済生会「肘部管症候群」「上腕骨外側上顆炎(テニス肘)」疾患解説.
  3. 加藤悌二ほか「上腕骨外側上顆炎 肘の疫学的研究およびその本態に関する考察」日本肘関節学会誌, 24(2): 289.
  4. 総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」.
  5. 奈良県医師会「上腕骨外側上顆炎(テニス肘)」疼痛誘発テスト解説.
  6. 安藝泰弘ほか「上部僧帽筋の潜在的トリガーポイントと肩甲骨の非対称性に関する研究」PLOS ONE, 2024(DOI:10.1371/journal.pone.0335268).

監修・執筆者

羽藤 泰三(はとう たいぞう)
整形外科医/医療法人奥山会
本記事の医学監修を担当。整形外科の視点から、テニス肘・ゴルフ肘・肘部管症候群の鑑別と受診の目安を監修。

村石 喜伸(むらいし よしのぶ)
理学療法士/givers PT 代表
本記事の監修を担当。リハビリテーション・姿勢評価の視点から前腕のセルフケアと使い方の見直しを解説。

安藝 泰弘(あき やすひろ)
柔道整復師/東亜大学大学院 博士課程
giversホールディングス こころ整体院グループ 創業者(本記事の総監修)

1996年柔道整復師資格取得。臨床28年・延べ施術人数15万人超。2024年にPLOS ONE誌へ姿勢分析に関する研究論文を発表。「揉まずに整える」GIFTメソッドを開発し、全国の整体院グループ・年間約80万人来院規模へと育てた。