首の矯正(頸椎アジャストメント)の安全性|医学的根拠と当院の方針

首の矯正(頸椎アジャストメント)の安全性|医学的根拠と当院の方針

首の矯正(頸椎アジャストメント)の安全性|医学的根拠と当院の方針

  • 公開日: 2026-02-10
  • 監修日: 2026-02-10
  • 監修・執筆: 安藝 泰弘(柔道整復師/こころ整体院グループ創業者)
※本稿は一般的な情報提供です。強い症状・急な変化がある場合は、必ず医療機関で評価を受けてください。
この記事のポイント

首の矯正(アジャストメント)は、適切な技術と評価のもとで行えばリスクは極めて低い施術です。重篤な事故率は数百万回に1回程度であり、美容院やゴルフと同等のリスク水準です。当院では国際基準に基づくスクリーニングを徹底し、リスクのある方には絶対に行わない方針を貫いています。

  • 音の正体:骨の摩擦ではなく、関節内の気泡が弾ける音(キャビテーション)です。
  • 安全性:日常動作と同程度のリスクですが、禁忌(やってはいけない人)が存在します。
  • 当院の方針:恐怖心がある方や血管リスクのある方には、ソフトな施術を選択します。

「整体で首をポキポキされるのが怖い」「でも、矯正しないと治らないのかな?」
ネット上には「危険」という声もあれば「スッキリする」という声もあり、迷ってしまいますよね。

結論から言うと、「誰にでも、むやみに行うのは危険」ですが、「適切な評価と技術のもとで行えば、リスクは極めて低い」ことが最新の医学研究で分かっています。

こんな不安はありませんか?
  • 「ポキッ」という音を聞くと、骨が折れたのではないかと心配になる
  • 過去に痛い思いをして、矯正がトラウマになっている
  • 「矯正しないと治らないよ」と言われたことがある
  • 自分の首の状態が、矯正しても大丈夫な状態なのか分からない

これらはすべて、「納得できる説明」が足りていないために生まれる不安です。

あの「ポキッ」という音の正体は?

結論:骨がぶつかる音ではなく、関節内の「気泡が弾ける音」です。

あの音の正体は、専門用語で「キャビテーション(空洞現象)」と呼ばれます。関節が急に動くと内部の圧力が下がり、滑液(かつえき)の中にガス(気泡)が発生します。それが弾ける瞬間に「ポキッ」と鳴ります。炭酸の栓を抜いた音と同じ原理であり、骨が削れているわけではありません。

本当に安全?医学的データで見るリスク

「首の矯正で脳卒中になる」という話の真相について、医学的なデータを紐解きます。

1. 事故の確率は「数百万回に1回」

研究によると、重篤な事故(椎骨動脈解離など)が起きる確率は約580万回に1回程度と推計されています。これは、施術者が毎日矯正を行っても一生涯に一度遭遇するかどうかという極めて低い確率です。

2. 美容院やゴルフと同じくらいのリスク

実は、椎骨動脈解離は矯正だけでなく、美容院でのシャンプー(首を反らす)やゴルフのスイング、天井を見上げる動作などでも起こり得ます。つまり、「矯正だけが特別に危険」なのではなく、「首を急激に動かすこと」自体に微細なリスクが含まれているのです。

3. 「矯正のせいで」脳卒中になったわけではない?

大規模調査によると、矯正後に脳卒中になった人の多くは、「もともと脳卒中の前兆(激しい頭痛・首痛)があって来院していた」可能性が高いことが分かっています。

GIFTの視点:当院の「安全基準」

当院(こころ整体院グループ)独自の「GIFT」アプローチでは、矯正を「数ある手段の一つ」として扱い、安全性を最優先しています。

  • スクリーニング(事前検査):施術前に必ず検査を行い、血管や神経に問題がないかチェックします。
  • 高リスクな動きの回避:血管に負担がかかる「回旋+伸展(後ろに反らしてひねる)」という動きは絶対に行いません。
  • ソフトな手技の優先:怖い方や適応外の方には、音の鳴らない「モビリゼーション」などの優しい手技を選択します。
▼【詳しく知りたい方へ】医学的なメカニズム(クリックで開く)

頸椎アジャストメント(HVLA)の安全性に関する疫学データと、リスク管理の国際基準について解説します。

1. 椎骨動脈解離(VAD)のリスク
Haldemanら(2001)の研究では、頸部マニピュレーション後のVAD発生率は約1/5,850,000回と推計されています。Cassidyら(2008)の研究では、カイロプラクティック受診と脳卒中リスクに因果関係(Causation)ではなく、関連性(Association)が見られるのみであることが示唆されています。
2. バイオメカニクス的負荷
Symonsら(2002)の研究では、熟練者によるHVLA時の椎骨動脈伸張率は約6%であり、通常の可動域検査時の伸張率(約12%)よりも低いことが示されています。
3. IFOMPTの国際フレームワーク
当院では、国際徒手理学療法連盟(IFOMPT)が提唱するフレームワークに基づき、5D(めまい、複視など)のレッドフラッグ確認や、頸椎不安定性テストを実施しています。

当院の方針:矯正を行う人、行わない人

私たちは、すべての人に矯正を行うわけではありません。明確な基準を持って判断しています。

❌ 矯正を行わないケース(禁忌)
  • 怖いと感じている方:恐怖心による筋緊張はリスクを高めます。
  • 高齢の方・骨が弱い方:骨粗鬆症のリスクがある場合。
  • めまい・しびれがある方:血管や神経の問題が疑われる場合。
⭕ 矯正が有効なケース
  • 関節がロックされている方:動きが悪くなった関節を解放します。
  • 急性の痛み(寝違え等):炎症がない場合、即効性が期待できます。
  • ご本人が希望し同意された方:リスクを理解された上で行います。

やってはいけない!3つのNG行動

⚠ 危険な行為
  • 自分で首をポキポキ鳴らす:緩い関節ばかり動き、首を痛める原因になります。絶対にやめてください。
  • 痛いのに無理に受ける:「痛い方が効く」は間違いです。防御反応で逆効果になります。
  • 信頼できない場所で受ける:検査も説明もない施術は危険です。国家資格者のいる院を選びましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 矯正を受けないと治りませんか?

A. いいえ、そんなことはありません。矯正は手段の一つです。ストレッチや運動療法など、音を鳴らさなくても改善する方法はたくさんあり、当院でも提供しています。

Q. 施術後にだるくなることはありますか?

A. はい、血流が一気に良くなることで、一時的にだるさ(好転反応)が出ることがあります。通常は1~2日で治まります。

Q. 子供でも受けられますか?

A. お子様の骨はまだ柔らかいため、基本的には強い矯正は行いません。年齢に合わせた安全な姿勢矯正プログラムを提供しています。

参考文献

  • [1] Haldeman S, et al. "Arterial dissections following cervical manipulation: the chiropractic experience". CMAJ. 2001.
  • [2] Cassidy JD, et al. "Risk of vertebrobasilar stroke and chiropractic care". Spine. 2008.
  • [3] Rushton A, et al. "International Framework for Examination of the Cervical Region for potential of Cervical Arterial Dysfunction prior to Orthopaedic Manual Therapy Intervention". 2020.
この記事の執筆・監修者
安藝 泰弘(Yasuhiro Aki)
givers Corporation CEO / 臨床研究者(Clinical Researcher)
柔道整復師

現場での施術だけでなく、国際的な生体力学・疼痛科学の臨床研究を行い、世界的な学術誌にて論文を発表しています。単なる経験則ではない、最新の生体力学的エビデンス(GIFTメソッド)に基づいた情報を提供します。

PLOS ONE 掲載著者 人間科学修士 臨床歴28年
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