腰の筋力貯金の始め方:体幹と臀部を鍛えて歩きやすさを保つ
加齢とともに腰や骨盤を支える筋肉が減少すると、歩行時のふらつきや転倒の原因になります。これを防ぐためには、お尻(臀部)と体幹(インナーマッスル)の「筋力貯金」が不可欠です。本記事では、30代から始まる筋力低下に対抗し、生涯自分の足で歩くための「天然のコルセット」を作るトレーニング法を解説します。
- 原因:加齢による筋力低下(サルコペニア)と骨盤の不安定化。
- 対策:お尻と体幹を鍛えて「天然のコルセット」を作る。
- 注意:しびれや転倒後の痛みが続く場合は、まず整形外科へ。
「最近、歩くのが少し遅くなった気がする」「駅の階段や、ちょっとした坂道が億劫になってきた」
そんなふうに感じることはありませんか?年齢とともに体力は変化しますが、「歳だから仕方ない」と諦めるのは早すぎます。
私たちの体は、何歳からでも「貯金」を始めることができます。それはお金ではなく、「筋力」という財産です。特に腰周りの筋力を蓄えておくことは、将来の「自分の足で歩く自由」を守るための保険になります。
- 何もないところでつまずくことが増えた
- 片足立ちで靴下を履くのが怖くて、つい座ってしまう
- 買い物袋を持って歩くと、すぐに腰がだるくなる
- 信号が点滅し始めても、走って渡る自信がない
- 椅子から立ち上がる時、無意識に「よいしょ」と言ってしまう
これらに当てはまる場合、体が「支えが足りないよ!」とサインを出している状態です。
なぜ「腰の貯金」が必要なの?
1. 30歳から筋肉は減り始める
筋肉は何もしなければ30歳頃をピークに減り始め、60歳を過ぎると加速します。特に下半身の筋肉(太もも・お尻)は減りやすく、気づかないうちに貯金を切り崩す状態になりがちです。
2. 「転ばない体」を作る
お尻の横の筋肉(中殿筋)は、歩行時の「横揺れ」を防ぐ重要な役割を担います。ここが弱ると骨盤が安定せず、ふらつきや転倒のリスクが高まります。
3. 外出が楽しくなる
腰が安定すると歩行が楽になり、「旅行に行きたい」「出かけたい」という前向きな気持ちが生まれます。筋力貯金は人生を豊かにするための投資です。
GIFTの視点:動ける体をどう作るか
当院(こころ整体院グループ)独自の「GIFT」アプローチでは、筋力低下を単なる衰えとは捉えません。動かしやすい土台を作ってから鍛えるのが特徴です。
- I (Inner - インナー):お腹の奥(腹横筋)やお尻(大殿筋・中殿筋)を活性化し、内側から支える力をつけます。これが貯金のメインバンクです。
- G (Gliding - 滑走):サビついた関節や筋肉の動きをスムーズにします。
- F (Form - 骨格・姿勢):猫背や反り腰を修正し、少ない筋力でも楽に動けるバランスに整えます。
- T (Trigger Point - 筋肉のしこり):筋トレの邪魔をする痛みのしこり(ブレーキ)を解除します。
▼【詳しく知りたい方へ】医学的なメカニズム(クリックで開く)
加齢に伴う筋力低下(サルコペニア)と運動療法の効果について解説します。
- 1. サルコペニアと転倒リスク
- 加齢に伴う骨格筋量の減少をサルコペニアと呼びます。Zhangら(2020)のメタ解析によると、サルコペニアを有する高齢者は転倒リスクが約1.5倍高いと報告されています。特に速筋繊維の萎縮が著しく、バランス保持能力に影響します。
- 2. 股関節外転筋の重要性
- 歩行時に骨盤を水平に保つのは中殿筋を中心とした股関節外転筋群です。Gafnerら(2020)の研究では、この筋力が低下している高齢者は転倒リスクが高いことが示唆されています。
- 3. レジスタンストレーニングの推奨
- Petersonら(2010)の解析では、高齢者に対する筋トレ(レジスタンストレーニング)が有効であることが確認されています。週2~3回、主要な筋群を対象としたトレーニングが推奨されます。
【実践編】今日からできる!体力別「筋力貯金」メニュー
無理は禁物です。週2〜3回から、ご自身の体力に合わせて選んでください。
レベル1 寝たままできる(低体力向け)
運動が苦手な方、腰痛が心配な方はここからスタート。
① ドローイン(天然のコルセット作り)
② お尻上げ(ヒップリフト)
仰向けで膝を立て、足裏で床を踏み込んでお尻を持ち上げます。膝から肩が一直線になったら3秒キープ。10回繰り返します。
レベル2 椅子を使って(中体力向け)
③ 椅子スクワット
椅子の前に立ち、お尻を後ろに突き出しながら座るギリギリ手前までしゃがみます。太ももに力を入れて立ち上がります。10回目安。
※膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
レベル3 しっかり鍛える(高体力向け)
④ バードドッグ(体幹バランス)
やってはいけない!3つのNG行動
- 痛みを我慢して行う:「痛いのは効いている」は間違いです。痛みがある時は休みましょう。
- 息を止めて力む:血圧が急上昇して危険です。力を入れる時は「フッ」と息を吐きましょう。
- いきなり毎日やる:筋肉は休んでいる間に育ちます。週2回から、細く長く続けましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 何歳からでも筋肉はつきますか?
A. はい、つきます。90代の方でも適切なトレーニングで筋力が向上したデータがあります。今日が一番若い日です。
Q. ウォーキングだけではダメですか?
A. ウォーキングは素晴らしいですが、それだけでは「上半身」や「とっさの瞬発力」の維持が難しい場合があります。筋トレを組み合わせることで、より転びにくい体を作れます。
Q. 整体で筋力アップはできますか?
A. 整体だけで筋肉が肥大するわけではありませんが、「筋トレの効果が出やすい体(可動域の改善・歪みの調整)」を作ることは可能です。
参考文献
- [1] 厚生労働省. "健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023". https://www.mhlw.go.jp/
- [2] Zhang X, et al. "Falls among older adults with sarcopenia dwelling in nursing home or community: A meta-analysis". Clin Nutr. 2020.
- [3] Peterson MD, et al. "Resistance exercise for muscular strength in older adults: A meta-analysis". Ageing Res Rev. 2010.






